倒産処理
手続きが法律上規定されており、裁判所が関与する。
制度の目的 | 対象者 | |
---|---|---|
事業活動の継続を目指す | 民事再生 | 個人・法人 |
会社更生 | 大規模な株式会社のみ | |
事業活動に結末をつける | 破産 | 個人・法人 |
債権者と債務者の協議によって進められる。
破産手続
- 支払不能(法人・自然人)…債務(弁済期にあるもの)につき、弁済ができない状態。
- 支払停止
- 債務超過(法人のみ)…債務(弁済期の到来していないものも含む)を完済できない状態。
- 債権者・債務者の申立て
- 他の法的整理手続き(民事再生や会社更生など)に資場合した場合、その後の清算手続きは破産手続きに移行することがある。
- 債権者が破産手続開始の申立てをするには、債権の存在と破産原因があることを疎明しなければならない。(証明ではない)
- 債権者が破産開始手続きの申し立てをする際、債務者の同意を得る必要がない。
※破産手続開始の申し立てから破産手続き開始決定までにとられる法的措置
裁判所は債務者の財産に対してされる強制執行、仮差押え、仮処分など手続きの中止を命ずることができる。
すべての債権者に対し、債務者の財産に対する強制執行等の手続きを包括的に禁止する。
債務者の財産の処分禁止の仮処分や、その他の必要な保全処理を命じることができる。
- 破産手続き開始決定が出されたら、1人または数人の破産管財人を選任する。
- 破産債権について、債権者は原則として、破産手続きによらなければ権利行使ができなくなる。
(一方、財団債権は破産手続によらず破産財団から随時支払いを受けることができる。)
破産手続は意思決定と同時に破産手続きを廃止し終結することをいう。
破産財団が破産手続きの費用を弁済するのに不足するとみとめられるときは、裁判所は破産手続き開始決定と同時に破産手続廃止の決定をしなくてはならない。

破産手続きをする資力もない時に決定される。

民事再生や会社更生などに失敗した場合、その後の清算手続きが破産手続きに移行することがある。
取引先との関係(一般債権者の場合)
- 破産債権として扱われる。
- 破産債権として認められるには、破産債権の届出をしなければならない。
双務契約の双方の債務が未履行の場合、破産管財人は契約の解除、履行の請求、どちらにするか選択権を有する。
4/1にA社がB社に商品90個を納品した。残り10個は5/1に納品し、その際に100個分の代金が支払われる旨の約定がなされた。しかし4/20にB社が破産開始決定を受けた。
- 納品済みの90個の返還を求めることができる。
- すでに転売等を行い現存しない場合は、その価額について財団債権者(破産手続きによらない)として権利行使できる。
- 解除により損害が生じた場合は、その損害賠償権を破産債権として権利行使できる。
- A社は残り10個を引き渡さなければならない。
- 反対債権(A社の代金債権)は財団債権として取り扱われる。
- 相手方は相当期間内に履行又は解除のいずれを選択するか確答を求めることができる。
- 相当期間内に破産管財人の確答がない場合、解除が選択されたものとみなされる。
- 破産手続開始決定後に発生原因のある債権は、財団債権として扱われる。

破産手続開始決定を受けただけでは自己の債務の支払い義務を免れることはできず、免責許可の決定を受けて初めて債務の支払い義務を免れることができる。
取引先との関係(破産者の財産に担保を設定している債権者の場合)
別除権
- 別除権とは、破産財団中の特定の財産から、破産債権者に先んじて債権の満足を受けることができる権利。
- 別除権は破産手続きによらず行使できる。
- 具体的な別除権は、抵当権、先取特権、仮登記担保権、商事留置権等。
- 民法上の留置権…破産法上の別除権に該当しない。
- 商法上の留置権…破産法上の別除権に該当する。
否認権
- 否認権とは経済的破綻に瀕している破産者が、破産開始手開始決定前に一部の債権者のみに満足を与える行為をしたときに、逸出した財産を破産財団に回復するために、その行為の効力を破産財団との関係で失わせる権利。
相殺
- 破産手続開始の時(後ではダメ)に破産者に対して債務を負担するときは、破産手続きによらず相殺権を行使して債権を優先的に回収することができる。
民事再生
適用対象
- 適用対象は法人と個人
申立原因と申立者
原因 | 申立者 |
---|---|
①破産手続開始の原因たる事実の生ずるおそれがあるとき | 債務者自身・債権者 |
②弁済期になる債務者を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障をきたす恐れがある場合 | 債務者自身 |
監督委員
- 監督委員とは再生債務者の行う行為に対する監督を行う後見的な機関。
- 裁判所が必要と認める場合に選任する。
- 監督員が選任された場合でも、財産の管理処分権や債務者の経営権は、原則として債務者に帰属する。
経営権
- 原則、債務者自らが業務を行い、財産の管理を行う。
- 例外的に債務者に事業経営権等を与えるのが適当でないと認められる場合は管財人が選任され、経営権や管財管理権は管財人に移行する。
担保権
- 担保権は別除権として扱われ、民事再生手続きに関係なく実行できる。
- 裁判所の許可を得て、担保目的財産の現実評価額支払いを条件に、担保権の消滅を求める担保権消滅制度がある。
再生計画
- 原則、債権者集会を開き、議決権の行使を求める。
- 例外的に債権者が多い、遠隔地に居住している場合、書面による議決とすることもできる。
取引先との関係
- 再生債権として扱われる。
- 原則、再生債権として扱われる。
- 例外として、再生債務者が許可または許可にかわる承認を得ておこなった再生手続申立後の資金借り入れ、事業の継続に欠くことのできない行為によって生じた相手方の請求権は共益債権となる。
- 共益債権として扱われる。
- 民事再生手続開始の決定がされると、新たな強制執行手続の申立は禁止され、その時点までに進行中の手続きも中止される。
相殺
- 原則、再生手続開始当時、再生債権者が再生債務者に対して債務を負担している場合、相殺は許されるが、再生債権者は再生債権届出期間末日までに相殺しなければならない。

再生手続開始の決定により、それまでに進行中の強制手続きは中止される。
会社更生
適用対象
- 株式会社
申立権者
- 当該株式会社自身が申し立てることができる。
- 破産手続き開始の原因となる事実が生ずる可能性がある場合は、債権者や株主も申し立てをすることができる。
管財人の選任
- 旧経営陣であっても管財人に選任できる。
- 裁判所が更生手続開始決定をすると、更生会社の事業経営権や財産の管理処分権は、全て管財人に帰属する。
取引先との関係
- 更生債権として扱われる。
- 抵当権等の担保権を設定している債権者の債権についても、更生債権として扱われる。別除権ではないので注意。
- 共益債権となる。(民事再生と異なる)
- 共益債権として扱われる。

更生手続開始前の会社の財産につき商事留置権がある場合、その財産が会社の事業の継続に欠くことができないものであるときは、更生手続開始の申し立てにつき決定があるまでの間、留置権者に対して当該留置権の消滅を請求できる。
相殺
- 更生開始時に更生会社に対して債務を負担している場合、相殺は許されるが、更生債権届出末日までに相殺しなければならない。
破産・民事再生・会社更生のまとめ
破産 | 民事再生 | 会社更生 | ||
適用対象 | 〇支払不能:法人・自然人 〇債務超過:法人 | 法人・個人 | 株式会社 | |
申立権者 | 債権者or債務者 | 債権者自身。破産手続開始の原因たる事実の生ずる恐れがあるときは、債務者も申し立てることができる。 | 当該株式会社自身。破産手続き開始の原因となる事実が称する恐れがある場合は、債権者や株主も申立することができる。 | |
管財人等 | 1人または複数人の破産管財人を選任。 | 監督委員は、裁判所が必要と認める場合に選任するが、財産の管理処分や経営権は債務者に帰属する。 経営権は原則、債務者が行う。債務者が適当ではない場合は管財人が選任され、経営権や財産管理権は管財人に移行する。 | 旧経営陣であっても管財人に選任できる。 | |
相手方の債権 | 開始決定前に発生原因のある債権 | 解除により損害が生じた場合、損害賠償権を破産債権として権利行使できる。 | 再生債権 | 更生債権 |
開始決定時に双方が義務を履行していない契約が存在する場合 | 【破産管財人が解除を選択した場合】 ・自己の反対給付の返還を求めることができる ・現物が存在しない場合、その価額について財団債権者として権利行使できる。 | - | - | |
【破産管財人が履行を選択した場合】 反対債権は財団債権として取り扱われる。 | - | - | ||
【破産管財人が履行または解除の選択をしない場合】 回答をもとめることができ、期限内に回答がない場合は、解除が選択されたものとみなされる。 | - | - | ||
手続申立後、開始決定までの間の取引によって生じた債権 | - | 原則、再生債権。例外的に共益債権となることもある。 | 共益債権(民事再生と違う) | |
開始決定後に発生原因のある債権 | 財団債権 | 共益債権 | 共益債権 | |
担保権 | 別除権 | - | 更生担保権として扱われ、担保権を個別に行使することはできない。 | |
否認権 | 特定の相手のみ満足を与える行為を失わせる権利。 | - | - | |
相殺 | 破産手続開始の時に破産者に対して債務を負担するときは、破産手続きによらず相殺権を行使して債権を優先的に回収することができる。 | 再生手続開始当時、再生債権者が再生債務者に対して債務を負担している場合、相殺は許されるが、再生債権者は再生債権届け出期間末日までに相殺しなければならない。 | 更生手続開始当時、更生会社に対して債務を負担している場合、相殺は許されるが、更生債権者は更生債権届出期間末日までに相殺しなければならい。 |
特許権
- 特許権の保護の対象は「発明」。
- 発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度の物。
発明の分類
発明の形態 | 令 | |
---|---|---|
物の発明 | 新薬、プログラム | |
方法の発明 | 狭義の方法の発明 | 新しい通信方法 |
物を生産する方法の発明 | 植物の栽培方法 |
特許要件
- 産業上利用可能性 … 農林水産業、鉱業、商業、サービス業も含まれる
- 新規性
- 進歩性
特許を受けられる者
- 発明者は自然人に限られる。
- 承継人(発明者から特許を受ける権利を継承した者)は自然人・法人ともなりうる。
特許を受ける権利の担保化
- 特許を受ける権利に譲渡担保を設定することができる。

特許を受ける権利に質権を設定することは認められない。
特許を受ける権利の移転の対抗要件

出願前(発明~出願)の特許を受ける権利の移転
承継人による特許出願が、第三者に対する対抗要件である。
出願後(出願~登録)の特許を受ける権利の移転
特許庁長官への届け出がなければその効力を生じない。
仮専用実施権・仮通常実施権
- 特許を受ける権利を有する者は仮専用実施権を設定し、または、他人に仮通常実施権を許諾することができる。
- 仮専用実施権または仮通常実施権について特許権の設定登録があった場合は、専用実施権または通常実施権が設定されたものとみなされる。
職務発明
- 職務発明について、予約承継規定がない場合には、発明者である従業者等が特許を受ける権利を取得する。
- そして発明者である従業者等が特許を取得した場合、企業等の使用者はその発明を実施する権利(通常実施権)を有する。
- 職務発明であっても、当該従業者には法定の通常実施権は発生しない。

従業員から実施許諾を受けなくてもOK。
予約承継
- 大部分の企業では職務発明について、使用者に特許を受ける権利を与え、または特許を譲るように定めている。これを予約承継という。
- 従業者は承継の代償として「相当の金銭その他の経済上の利益」を受ける権利を有する。
予約承継あり
企業が特許を受ける権利はまた特許権を有する。
予約承継なし
発明した従業員が特許を受ける権利を有する。企業が通常実施権を有する。
特許出願の手続き

- 特許庁長官に対して発明を出願する。
- 出願は特許請求の範囲などを添付する。
- 同じ発明が2つ以上出願された時には、先に出願した方を優先する。(先願主義)
- 同じ日に2つ以上出願された時は、当該特許出願人が協議して決める。
- 出願公開制度とは、特許出願の被から1年6ヶ月を経過した場合に、特許出願の内容を公開する制度。
- 出願人は特許出願の日から1年6ヶ月を経過する前であっても、特許庁長官に対して出願公開の請求をすることができる。
- 出願公開の後、特許権設定前に第三者が行として発明を実施した場合には、出願人に一定額の補償金を請求する権利(補償金請求権)が認められる。
- 補償金請求権は、特許権の設定登録の後に行使することができる。(特許が登録されるかどうか分からないから。)

- 出願審査の請求をしなければ、審査は行われない。
- 第三者(特許出願人以外)であっても、出願審査請求書を提出の上、審査手数料を納付すれば出願審査の請求をすることができる。

- 特許査定がなされた場合、出願人に対して特許査定謄本が送達される。
- 特許査定謄本が送達されてから30日以内に特許料を納付すると、特許権の設定登録がなされる。
- 特許権に更新制度はない。
- 特許の存続期間は、出願日から20年で満了する。
実施権(ライセンス)の設定
- 特許権者であっても実施が制限される。
- 同一範囲の専用実施権を重ねて設定することはできない。
- 特許庁に登録することで専用実施権が発生する。
- 専用実施権者は特許権者の承諾を得た場合に限り、他人に通常実施権を許諾することができる。
- 特許権侵害について、特許権者と同一の地位に立つため、専用実施権者には差止請求権が認められている。
- 特許庁に設定登録をおこなわなくても、実施許諾契約で通常実施権が発生する。
- 通常実施権は登録しなくてもその通常実施権発生後に特許権や専用実施権を取得した者に対して対抗できる。
- 実施権者のみに通常実施権を与え、他の者には実施権の許諾・設定をおこなわないとの特約付きの通常実施権のこと。
- 法律上はあくまで通常実施権と同じであり、独占的である旨を特許登録原簿に登録することはできない。
他者がした特許出願の時点で、その特許出願に係る発明の実施である事業やその事業の準備をしていた者に認められる権利。 先使用権者は、他者の特許権を無償で実施し、事業を継続できるとすることにより、特許権者と先使用権者との間の公平が図られている。
法律で定められた事項に基づき、特許権者や専用実施権者の許諾なくして発生する通常実施権。
特許権の移転
- 相続、合併等により発生。
- 登録は不要。登録がなくても第三者に対抗できる。
- 売買等により発生。
- 特許登録原簿に登録しなければその効力を生じない。
- すなわち登録は特許権移転の効力発生要件である。
特許権の侵害に対する措置
- 差止請求
- 損害賠償請求(損害額の推定規定、過失の推定規定)
- 不当利得の返還請求
- 信用回復措置の請求
特許侵害訴訟において損害額の立証が困難な場合に、裁判所が相当な損害額を認定できることを定めた規定。
- 刑事罰
- 両罰規定
- 非親告罪(被害者からの告訴がなくても起訴できること)
特許権は、公益性が強い商標権とは異なり、私益的性格及び人格権的な要素を有するため。
法人に所属する役員や従業員らが、法人の業務に関連して違法な行為をした場合、個人だけでなく、法人も併せて罰せられる規定。
共同発明・特許権の共有
- 共同発明とは、2人以上の者が協力して完成させた発明のこと。
- 特許を出願するときは、共有者全員で出願しなければならない。
- 特許を受ける権利が共有にかかるときは、各共有者は他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することはできない。
- 持分の譲渡、実施権の設定・許諾には、他の共有者の同意が必要である。
- 一方、契約で別段の定めをした場合を除き、他の教諭者の同意を得ないで、その特許発明の実施をすることができる。
実用新案権
- 実用新案件の対象は、物品の計上、構造、組み合わせにかかる考案。
- 実用新案は出願の後、形式的審査のみを行って実用新案権の設定を行う早期登録制度が採られている。
- 実用新案権の存続期間は、出願日から10年(特許は20年)。更新はできない。
- 権利の侵害者には、実用新案技術評価書を提示した警告を行う。
- 出願の日から3年以内であれば、実用新案登録後であっても、実用新案登録に基づいて特許出願できる。

更新できるのは商標権。
意匠権
- 意匠権とは物品の外観について創作した、工業上利用可能な新しい衣装(デザイン)に対して与えられる独占権である。
- 存続期間は意匠登録出願日から25年。更新はできない。
- 物品の形状、模様、色彩またはこれらの結合
- 建築物の形状等
- 画像であって、視覚を通じて美観を起こさせるもの

「物品」に土地、気体、液体は含まない。
- 部分意匠(物品・建築物・画像の全体ではなくその一部分のみ) 例:コップの柄
- 組部の意匠(同時に使用される複数の物品等を組み合わせた全体として統一感があるもの) 例:カトラリー
- 動的意匠
関連意匠制度
- 意匠(本意匠)に類似する意匠群を関連意匠として登録し、侵害の際には各関連意匠を個別に権利行使する制度。
- 関連に証の意匠権の存続期間は、基礎意匠の登録出願日から25年。
意匠登録の要件
- 工業的方法により量産可能なものであること。
- 一品制作の美術工芸品は工業上の利用可能性が認められないため、意匠登録を受けることはできない。
自分が創作した意匠を自ら公開した場合でも、新規性を喪失する。
容易に創作できないこと
- 意匠権者は、意匠登録を受けた意匠及び登録意匠に類似する意匠を独占排他的に実施する権利を有する。
不正競争防止法との関係
- 意匠登録している物品…意匠法の保護、不正競争防止法による保護を受ける(商品形態模倣行為)
- 意匠登録していない物品…不正競争防止法の保護を受けることがある(商品形態模倣行為)
商標権
商標とは
- 文字、図形、記号、立体的形状もしくは色彩またはこれらの結合、音その他政令で定めるものである標章。
- 美感は関係ない。(←意匠権の要件)
商標の種類
- トレードマーク … 商品に付けられるマーク 例:カップヌードル、味の素
- サービスマーク … すべての業務に使用されるマーク 例:JAL、宅急便
商標登録を受けられる商標
- 現に使用している商標
- 将来使用する意思がある商標
- すでに第三者が当該商標と同一または類似の指定商品に、同一または類似の商標について商標登録を受けているとき。
商品等 | ||||
同一 | 類似 | 非類似 | ||
商標 | 同一 | 〇(専用権) | 〇(禁止権) | × |
類似 | 〇(禁止権) | 〇(禁止権) | × | |
非類似 | × | × | × |
※R6年4月施行の商標法の改正により、
①出願人が先行登録商標の権利者の承諾を得ていること、かつ
②混同を生じる恐れがないこと
を要件として、商標登録を受けることができるという例外が規定された。
商標登録出願
- 商標法でも出願公開制度が採られている。(特許法と商標法だけ)
- 一商標一出願の原則。
- 実用新案権のような早期登録制度は採られていない。
- 普通名称 … テレビに対して「テレビ」という商標
- 慣用商標 … ありがちな名前
- 記述的商標 … 「スペシャル」
- ありふれた氏または名称
- 簡単かつありふれた商標 … 単なる円形
商標権の効力
指定商品(役務について、登録商標を使用する権利)を専用する。
類似範囲において、第三者の使用を禁止できる。
商品等 | ||||
同一 | 類似 | 非類似 | ||
商標 | 同一 | 〇(専用権) | 〇(禁止権) | × |
類似 | 〇(禁止権) | 〇(禁止権) | × | |
非類似 | × | × | × |
令和5年の商標法改正により、すでに第三者が当該商標と同一の指定商品に係る類似の商標について商標と留億を受けていても、商標登録を受けられることがある。
不使用商標
- 一定期間(3年間)使用されていない登録商標の商標登録を取り消す制度がある。
- 取消審判を請求するには、「商標権者・専用使用権者・通常使用権者のいずれも使用していないこと」などの要件を満たす必要がある。
商標権の存続期間
- 商標権は設定登録の日から10年間存続する。
- この期間は何度でも更新登録が可能。
防護標章登録
- 防護標章登録を受けると、登録標章の類似範囲を超えて、第三者の使用を禁止できる権利が認められる。
地域団体商標制度
- 地域名と商品または役務の普通名称等からなる承認について、周知性を獲得した場合は地域団体商標としての商標登録が認められる。
権利 | 存続期間 | 出願公開制度 |
---|---|---|
特許権 | 出願から20年 | あり |
実用新案権 | 出願から10年 | - |
意匠権 | 出願から25年 | - |
商標権 | 出願から10年 (唯一、更新登録可能) | あり |
著作権
著作権とは
- 思想又は感情を創作的に表現したもの。
- コンピュータプログラムも著作物に含まれる。
- 単なる事実の伝達に過ぎない雑報、時事報道は著作物に該当しない。(思想や感情ではないため)
二次的著作物
- 著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化して捜索した著作物。(小説の映画化など)
- 現著作物とは別の著作物として保護の対象となる。
- 現著作物の権利者の承諾を得ずに二次的著作物を制作した場合は著作権侵害に該当するが、創作された二次的著作物はそれ自体保護の対象となる。
編集著作物
- 編集著作物とは編集物(データベースを除く)であって、その素材の選択または配列によって創造性を有するもの。辞典や新聞、雑誌など。
- データはそれ自体としては創造性を有しないので著作物とは言えないが、データベース化され、その情報の選択または体系的な構造によって創造性を有するものであれば、データベースの著作物として保護される。
著作物の対象とならないもの
- 憲法・法令
- 裁判所の判決、決定、命令
- 上記の編集物であり、国等が作成するもの
著作者
- 著作者とは、著作物を創造する者。
- 法人等の発意に基づき、その法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、法人が自己の著作の名義の下に公表するもの(職務著作)の著作者は、契約によって別段の定めがない限り、その法人とされている。
- ただしプログラムの著作物については、「その法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの」という要件は不要であり、他の要件を満たせば職務著作に該当する。
著作権と著作者人格権
- 複製権、上演権、上映権、口述権など
- 著作権は著作物を創作するだけで成立する。出願や登録は不要。登録の制度はあるが、登録しないと権利が得られないというわけではない。
- 著作権の保護期間は著作物の創作の時にはじまり、著作者の死亡した年の翌年から70年を経過するまでの間。
- 私的使用のための複製が認められる。
- 妥当な範囲の引用も認められる。(出所の明示が要求されている)
- 公表権
- 指名表示権
- 同一性保持権
- 著作者人格権も、著作物を創作するだけで成立する。
- 一身専属的権利(その人限りの権利)であり、譲渡できず、死亡すると消滅する。
共有著作権
- 共有著作権とは、共有にかかる著作権をいう。
- 共有著作権の持分は、他の共有者の同意を得なければ、譲渡することができない。
- 共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ行使することができない。
- しかし、共有者は正当な理由がない限り、合意の成立を妨げてはならない。
- 保護期間は、最終に死亡した著作者の死後70年を経過するまでの間。
著作権の利用許諾・譲渡
- 著作者は他人に対して著作物の利用を許諾できる。
- 利用許諾を受けたものが有する権利(利用権)は、文化庁に登録する必要はない。
- 出版権は登録することによって第三者に対抗することができる。(登録しなくてもよいが、第三者に対抗できない)
- 著作権はその全部または一部を譲渡することができる。
- 著作権の譲渡は、登録をしなければ第三者に対抗できない。
著作隣接権
- 著作隣接権とは、著作物の利用者である実演家、レコード製作者、放送事業者等に認められたその成果物の利用行為に対する禁止権や報酬請求権などをいう。
著作権の侵害と救済
- 差止請求
- 損害賠償請求(損害額の推定規定あり、過失の推定はない(特許権にはある))
- 不当利得の返還請求
- 名誉回復措置の請求
- 刑事罰が科せられる。
- 両罰規定がある。
- 原則として親告罪である。(特許と異なる)
独占禁止法
公正かつ自由な供促を促進することにより、一般消費者の利益の確保と国民経済の民主的で健全な発達の促進を目的としている。
ある事業者が他の事業者の事業活動を排除し、支配すること。
- 不当な取引制限(カルテル)とは、事業者が協定その他の名義により、他の事業者と共同して対価を決定するなどして、相互にその事業活動を拘束し、または遂行すること。
- 相互拘束
- 共同遂行
- 事業者間の意思連絡がないと、共同遂行とはいえない。
- 紳士協定のような弱い協定も相互拘束があるとされる。
- 取引段階の異なる事業者間でも、不当な取引制限に該当する場合がある。
- 価格協定に関し、値下げ協定をすることも不当な取引制限にあたる。
- 予定価格、受注予定者のいずれか1項目につき合意が成立すれば、独占禁止法違反となる。
- 競争入札において落札者となるか否かに関わらない。
- 公正取引委員会は、公共事業の発注機関の職員が入札談合に関与した場合、当該発注機関の長等に対して改善措置をとるよう求めることができる。
- 事業者側が職員に金品などを贈ると贈賄罪が成立する。
不当に低い価格で販売する。
別の商品やサービスを同時購入するよう義務付ける行為。ただし、
・抱き合わせることによって個別の特徴を持つ商品になる場合
・顧客それぞれが単独に購入することができる場合
は、抱き合わせ販売に該当しない
事故の競争者と取引しないことを条件として取引を行うこと。
メーカーや流通業者から、再販売価格を守らせる(拘束)行為。

販売委託につき委託者が指値を行うことは、独占禁止法に違反しない。
- 不当な国際的協定などの締結(海外事業者との取引)も独占禁止法に抵触する。
- 銀行または保険会社が金融機関以外の国内会社の議決権総数の一定割合(銀行は5%、保険会社は10%)を超えて保有することが禁止されている。
- 不公正な取引方法により役員の兼任を認めさせることは禁止されるが、不公正な取引方法でなければOK。
企業結合
- 会社による会社の取得・所有の規制
- 役員兼任についての規制
- 会社合併、分割、事業譲受け等の規制
公正取引委員会による行政上の調査
- 公正取引員会は、相手方の抵抗を実力で排除して調査できる(犯則調査)
- 公正取引委員会は排除命令措置を行おうとするときは、意見聴取を行わなければならない。
- 排除命令が確定した後、これに従わない場合は罰金に処せられる。
- 不当な取引制限、私的独占、一部の不公正内取引方法について、課徴金納付命令が出される。

独禁法の規定に違反するすべての行為が課徴金の対象となるわけではない。
- 課徴金減免制度(リニエンシー)…調査開始前に申告順位が一位だった場合100%減免
- 排除措置命令、課徴金納付命令の処分に不服があるものは、裁判所に命令の取り消しを求める訴訟を提起することができる。(訴えるところは裁判所であり公取ではない。)
確約手続とは、独占禁止法違反の疑いのある事実について、公正取引委員会と事業者との間の合意により解決する制度。
- 公正取引委員会は独占禁止法の規定に違反する疑いのある行為をしている事業者に、書面により通知をする。
- 事業者は排除措置計画を作成し、申請する。
- 公正取引委員会は、排除措置計画を確認、認定する。
- 認定されると排除措置命令、課徴金納付命令は出されない。
刑事上の措置
- 私的独占、不当な取引制限をした者は、懲役または罰金に科せられる。(不公正な取引方法は刑事罰の定めはない。)
民事上の措置
不公正な取引方法によって利益を害され、または害される恐れがある者は、その侵害の停止または予防を請求できる。
- 独占禁止法違反により損害を受けた者は排除措置命令が出た後に、損害賠償を請求できる。
- 違反行為者は故意・過失がなかったことを証明して、独占禁止法上の損害賠償責任を免れることはできない。(無過失責任)
違反行為 | 刑事罰 | 民事上の措置 |
---|---|---|
私的独占 | あり | 損害賠償請求 |
不当な取引制限 | あり | 損害賠償請求 |
不公正な取引方法 | なし | 損害賠償請求&差止請求 |
事業者団体の禁止行為 | あり | 損害賠償請求 |
下請代金支払遅延等防止法
- 下請法は、会社法上の親子会社関係のある会社間の取引に限らず適用される。
- 親事業者、下請事業者については、資本金の額による基準が定められており、この資本金の額は下請法の適用対象となる取引の種類による違いがある。
親事業者の義務
- 書面等を下請け会社に交付しなければならない。
- 下請け業者の承諾を得て、電子メール等の方法でもOK。
- 書類を作成し、2年間保存しなければならない。
- 電磁的記録による保存もOK
- 物品等の給付を受領した日から起算して60日以内に、下請代金を払う期日を定めなければならない。
- 60日を経過した日から実際に支払いをする日までの期間について、遅延利息(未払金×年率14.6%)を支払わなければならない。
- この遅延利息の利率は両社の合意で任意に決定することはできない。
- 違反すると法人も従業者も罰金が科されることがある。(両罰規定)
親事業者の禁止事項
- 一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を交付してはならない。
(振り出し日から支払期日まで期間(手形サイト)が120日を超える手形など)
不正競争防止法
- 周知の他人の商品等と同一または類似の表示を用いることによって、混同を生じさせる行為。
- 商品名等が商標登録されている必要はない。
- 刑事罰の対象。

キーワードは「周知(一部で知られている)」「同一又は類似」「混同を生じる」。
- 著名な商品等表示と同一又は類似の表示を用いる行為。
- 商品名等が商標登録されている必要はない。
- 刑事罰の対象。

①と違い、混同を生じなくてもアウト。
- 他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等した場合。
- 当該商品の機能上不可欠な様態は含まない。
- 意匠登録、商標登録されている必要はない。
- 刑事罰の対象。
- 秘密として管理されていること
- 事業活動に有用であること
- 公然と知られていないこと
- 営業秘密には、特許法、実用新案法等の保護対象も重複して含まれている。
- 営業上の像法だけではなく技術上の情報も、要件を充たせば営業秘密に該当する。
- 起業の秘密管理意思が明確に示され、従業員や取引先がその秘密管理意志を容易に認識できるようにしておく必要がある。
- モノやサービスの生産、販売、研究開発に役立つデータとして、失敗したデータも有用であると判断される。
- 不正取得(窃取、詐欺、脅迫)、使用、開示
- 不正取得後の転得
- 不正取得に関する事後的悪意による使用、開示

取得時に善意であり、のちに悪意と知った後も使用し続けるとアウト。
- 営業上の利益が侵害され、または侵害されるおそれがあるときは、差し止め請求、損害賠償請求等の措置をとることができる。
- 行として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積されているもの(営業秘密を除く)も保護される。
- コピープロテクト破り等
- 役務を提供するのもNG
- 刑事罰の対象
- 産地偽装等
- 刑事罰の対象
- 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知、流布する行為。

競争相手ではなかったり、虚偽ではなく真実であれば対象外。
不正競争行為に対する被害者の民事的救済
- 新会社が不正競争行為によって利益を得ている場合は、その利益額を被害者の損害額と推定する。
- 不正競争防止法では損害額の推定規定は存在するが、過失の推定規定は存在しない。(特許法には存在する)
- すべての不正競争行為に対して刑事罰があるわけではない。
消費者契約法
- 消費者の利益を保護するための特別法。
- 消費者契約法には、クーリング・オフや損害賠償に関する規定はない。
消費者契約法による消費者保護
- 契約対象は労働契約を除き、消費者と事業者の間で締結されるすべての契約。
- 消費者とは個人を言う。個人事業主や自営業者が事業として事業のために契約の当事者となる場合は除かれる。
- 事業者には一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、宗教法人など利益を目的としない法人、団体も含まれる。
- 事業者が消費者を誤認させたり困惑させたりする方法によって契約締結させた場合、当該契約をとりけすことができる。
- 消費者が誤認しなければ、消費者は当該消費者契約を取り消すことはできない。
- 過量内容(あきらかにおかしな量)の契約について事業者が相悔いの場合、消費者は取り消すことができる。
- 重要事項に関する不実告知
- 不確実時効についての断定的判断の提供
- 不利益事実の故意・重過失による不告知
- 不退去
- 退去妨害
- 取り消しをすることができる期間には限りがある。
- 冷感等による知見を用いた告知は、通常の取消期間よりも長めに設定されている。
- 取消がされると、双方に原状回復義務が発生する。
- 消費者は「消費者契約法の取消権」「民法の詐欺もしくは脅迫による取消権」の両方が主張できる場合、どちらを主張することも可能。
- 消費者は「消費者契約法の取消権」「特定商取引法に基づく取消権」の両方が主張できる場合、どちらを主張することも可能。
- 消費者にとって一方的に不利益となる一定の契約条項については無効になる。
- これらの条項は無効であるが、契約自体が無効となるわけではない。
- 債務不履行責任、不法行為責任の全部免除
- 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項
- 事業者の不法行為によって消費者に生じた損害について、事業hさの生人の一部を免除する条項。
消費者団体訴訟制度
- 消費者を代表する団体が企業などに対して、法的措置をとることができる制度。
- 差止請求をすることができ、必要な場合には差止請求訴訟を提起できる。
割賦販売法の規制
割賦販売法とは
割賦販売のうちで2ヶ月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割する取引を規制する法律。
- 割賦販売(2ヶ月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割する取引)
- ローン提携販売
- 信用購入あっせん
- 信用購入あっせんについては、2ヶ月を超えた後の1回払いや2回払いの場合にも割賦販売法の適用がある。
- 割賦販売上のクーリング・オフは強行規定であり、当事者の意思で排除できない。
信用購入あっせん
包括信用購入あっせん | 個別信用購入あっせん | 訪問販売 | |
---|---|---|---|
契約締結前 | クレジット会社はカード等発行前に取引条件に係る方法を提供しなければならない。 | 販売業者等は商品の販売前に支払い方法等を示さなければならない。 | 信販会社は個別クレジット契約の申し込みを受けた時は、遅滞なく申込書面を申込者に交付しなければならない。 |
契約締結時 | クレジットカード会社は締結後遅滞なく、契約情報にかかる情報を提供しなければならない。(契約締結前ではない) | 販売業者等は契約締結後遅滞なく、契約書面を購入者に交付しなければならない。 | 信販会社は個別クレジット契約締結後遅滞なく、契約書面を交付しなければならない。 |
販売業者も遅滞なく販売契約等の内容に係る情報を提供する義務を負う。 |
- 信用購入あっせん業者は、割賦金の支払いの遅滞があっても、20日以上の相当の期間を定めた書類による催告を経た後でなければ、契約の解除等はできない。
- 信用購入あっせん業者は、損害賠償の予定又は違約金を定めたとしても、法定利率以上の金額を請求することはできない。
- 訪問販売等による過量販売は販売契約を解除できる。個別クレジット契約も解除できる。(消費者契約法でできるのは「取消」)
- 特定商法取引上、不実告知や重要事項の故意の不告知により誤認して契約した場合は、契約を取り消すことができる。
- この場合、個別クレジット契約も取り消すことができる。
- 販売業者等に対する抗弁事由をもって、クレジット会社からの支払い請求に対抗できる。
クーリング・オフ制度
- 個別信用購入あっせんを利用した契約が訪問販売や電話勧誘販売等である場合、クレジット契約を解除することができる。
- 一方、包括信用購入あっせんには、クーリング・オフ制度はない。
- 販売業者から契約書面または申込書面を受領した日のいずれか早い日から起算して8日以内に書面に記載して発信することを要する。
- クーリング・オフの通知は、書面を発信した段階で効力が生じる(発信主義)。
クーリング・オフの効果
- クレジット契約のみをクーリング・オフした場合でも、販売契約は解除されたものとみなされる。
- 販売業者が個別信用購入あっせん業者に対して立替金を返還する義務を負う。
- 個別信用購入あっせん業者は消費者に受領済みの割賦金を返還する義務を負う。
- 個別信用購入あっせん業者は消費者に対し、解除に伴う損害賠償や違約金の支払いを請求することはできない。
特定商取引法の規制
訪問販売
- 営業所以外の場所で契約を締結する場合
- キャッチセールス、アポイントメントセールスの場合
- 販売の勧誘に先立って、販売業者は名称や、氏名、勧誘目的等を相手方に明治する必要がある。
- 相手方が契約を締結しない意思を表示した場合、再度の勧誘をすることは禁止されている。
- 契約の申し込み又は契約締結の際に販売業者等が交付すべき書面等を受領した日から8日以内の無条件の契約申し込みの撤回、解除制度が設けられている。
- 過量販売については、契約後1年に限り解除することができる。(消費者契約法では「取消」ができる。)
- 違反行為が行われた場合、主務大臣等は行政指示、業務停止命令、業務禁止命令ができる。
通信販売
- 通信販売にはクーリング・オフの適用はない。

訪問販売と違ってサプライズ性がないため。
- 販売事業者は適正な広告を行わなければならない。
- 相手からの請求、承諾がない場合、電子メール広告をしてはならない。
- 返品条件を定めていない場合、8日以内に限り、無条件で契約の解除ができる。
ネガティブオプション(送り付け商法)
- 販売事業者は売買契約に基づかないで一方的に送り付けた商品の返還を一切請求することができない。
- 消費者は商品を即座に処分することが可能。
特定継続的役務提供
- 長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。
- 現在、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が対象とされている。
- 消費者が自ら営業所や教室に出向いた場合も、特定商取引法の規制対象となる。
- 事業者は契約締結前と契約締結時に書面を交付する必要がある。
- 書面を受領した後8日間のクーリング・オフ制度が認められている。
- 8日を超えても、違約金を払えば無条件で中途解約ができる。
- 関連商品の購入契約を含めて、クーリング・オフ、中途解約ができる。
訪問購入
- 勧誘の要請をしていない消費者に対し、営業所棟以外の場所において勧誘をしたり、勧誘を受ける意思の有無を確認することは禁止されている。
各取引に共通するルールや規制
- クーリングオフを妨害するために不実告知、威迫を行い、消費者が誤認、困惑してクーリング・オフをおこなわなかったとき、クーリング・オフ期間を経過していても消費者はいつでもクーリング・オフができる。
- 事業者による不実告知や重要事項の故意の不告知により、消費者が誤認して契約を締結した場合、気づいたときから6ヶ月以内であれば当該契約を取り消すことができる。
景品表示法
景品類
- 景品類とは顧客を誘引する手段として、取引に付随して提供される経済上の利益。
- 正常な値引き、アフターサービス、その商品や役務に通常付随する経済上の利益は、景品にあたらない。
景品類型
懸賞による | 懸賞によらない | ||
総付景品 | 一般懸賞 | 共同懸賞 | |
最高額の制限 | あり | あり | あり |
総額の制限 | なし | あり | あり |
- 懸賞による場合は、総額の制限がない。
- 特定の地域、業界の事業者が共同して行うもの(共同懸賞)は、景品の最高額の限度が定められており、取引価額にかかわらず30万円である。
不当表示
- 実際の物より著しく有料であると示すもの。
- 景品表示法上、優良性を強調する表示には合理的な根拠が必要である。
- 内閣総理大臣は、合理的な根拠の提出をもとめることができる。
- 根拠を提出しない場合は、不当表示(優良誤認表示)とみなされる。
新商品のエアコンが旧商品より50%節電効果があると広告を出していたが、殆ど変わらなかった。
実際の物、もしくは他の事業者にかかるものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示。
通常5,000円で販売しているにもかかわらず、今だけ10,000円のところ5,000円だと表示して販売する。
- ステルスマーケティング等。
- 内閣総理大臣は、不当景品又は不当表示の違反があるときは措置命令を出すことができる。
- 事業者が優良誤認表示や有利誤認表示を行った時は、適格消費者団体は差止請求をすることができる。
- 内閣総理大臣は不当表示(優良誤認表示・有利誤認表示)を行った事業者に対し、課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。(※不当景品に課徴金納付命令制度はない)
- 景品表示法の命令(措置命令)に違反した者には刑事罰が科されることがある。
- 優良誤認表示違反行為や有利誤認表示違反行為をしたものは直罰規定(2025.11までに施行)がある。
- 事業者が課徴金対象行為に該当する事実を内閣総理大臣(消費者庁長官)に報告したときは、課される課徴金額は50%減額される。
違法行為があった場合に、行政指導や行政命令を出して自主的な改善を促すといった過程を経ることなく、即時に罰則を適用することを定めた規定。
金融サービス提供法
- 対象となる金融商品は、預金、貯金、信託、保険、証券、市場・デリバティブ取引等である。
- 金融商品販売業者等とは、金融商品の販売、代理、媒介を業として行う者。
- 販売代理を行う事業会社も対象。
規制内容
- 一定の重要事項について説明をしなければならない。
- 不確実な事項について断定的判断をしてはならない。
- 損害を賠償する責任を負う。
- 元本欠損額が損害額と推定される。
金融サービス仲介業
- 媒介のみ行う業者。代理は行わない。
- 金融サービス仲介業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができない。
消費生活用製品安全法
- 主として一般消費者の生活の用に供される製品。
- 便利だけど、使い方を誤ると危険なもの。
- 食品衛生法や消防法その他法令で個別に安全規制が図られている一定の製品は除かれる。
- 消費生活用品のうち、構造、材質、使用状況からみて一般消費者の生命または身体に対して、特に危害を及ぼす恐れが多い製品。(圧力なべ、ヘルメットなど)
- 特定製品を販売するものはPSマークを付けなければならない。
- 消費生活用品のうち、経年劣化により安全上の支障が生じ、一般消費者の生命または身体に対して特に重大な危害を及ぼす恐れが大きいと認められる製品。
製品事故
- 対象は消費生活用製品の使用に伴い生じた事項。
- 下記のいずれかに該当する事故であること。
- 一般消費者の生命または身体に対する危害が発生した事故
- 消費生活用品が滅失し、または毀損した事故であって、一般消費者の生命または身体に対する危害が発生するおそれのあるもの。
- 消費生活用製品の製造又は輸入するものは、製品事故が生じた場合、回収その他の危害の発生及び拡大を防止するための措置をとらなければならない。(製造、輸入を行っていない販売業者には課せられていない。)
重大製品事故
- 重大製品事故とは製品事故のうち危害が重大なもので、政令で一般消費者の死亡や全治30日以上の負傷等が要件として定められている。
- 製造事業者または輸入事業者が重大製品事故が生じたことを知ったときは、内閣総理大臣(消費者庁長官)に報告しなければならない。
- 報告を受けた内閣総理大臣(消費者庁長官)は、製品の名称及び型式、自己の内容等を公表する。