株式会社のしくみ
株式会社の機関
株式会社の役員 → 取締役・会計参与・監査役
必ず設置しなければならない
- 株主総会
- 取締役【役員】
- 取締役会
- 代表取締役
- 会計参与【役員】
- 監査役【役員】
- その他
公開会社
一部、譲渡制限株式でもOK
- 上場会社はすべて公開会社。
- 公開会社は取締役会を設置しなければならない。
取締役が一人では足りないから。
すべて譲渡制限株式
公開会社か否かの問題と、上場会社か否かの問題は無関係。
大会社
最終事業年度にかかる貸借対照表上に、
- 資本金として計上した額が5億円以上 あるいは
- 負債に計上した額の合計額が200億円以上
の会社。
大会社は会計監査人を設置しなければならい。
大会社以外の会社
株式会社の設立
株式会社の設立
- 出資を履行させる
- 各発起人は会社設立時に必ず1株以上の株式を引き受ける義務を負う。ただし、ずっと持っていなくてはならないわけではない。
- 募集設立…株主+発起人
- 発起設立…発起人のみ
- 発起人全員が署名または記名押印する。(電子署名でもOK))
- 公証人の認証を受ける。この時点で会社が成立する。
定款の記載事項
1つでも欠ければ定款は無効となる。
- 会社の目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名又は名称及び住所
- 発行可能株式総数
変態設立事項
…定款に記載したうえで、裁判所の選任した調査役の検査を受ける必要がある。記録しないと絶対的に無効。追認しても無効。
- 現物出資
- 財産引受け
- 発起人が受ける報酬
財産引受けとは時間差の現物出資のこと。会社の成立を条件として、会社成立後にモノを譲り受ける。
- 事後設立とは、会社成立後2年以内に、その成立前から存在する財産であって、その事業のために継続して使用するものを取得する契約をいう。
- 事後設立は変態設立事項ではないが、原則として株主総会の特別決議を要する。
資本充実責任
- 原始定款の絶対的記載事項である「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」が出資されれば、出資の全部の履行がなくても会社の成立は認められる。
- 履行されない分を発起人が立て替える必要はない。
- 履行しなければならない旨を通知
- 期日までに出資されなければ、当該発起人は設立時発酵株式の株主となる権利を失う。
ワンチャンあり。
期日までに払込をしない場合は、設立時募集株主の株主となる権利を失う。
ワンチャンなし。
財産価額補填責任
現物出資、財産引受けの目的財産が定款所定の価額より著しく不足する場合の話。
発起人および設立時取締役が会社に対し、連帯して当該不足額を支払う義務を負う。
- 現物出資・財産引き受けをした発起人・設立時取締役 → 免責されない
- 現物出資・財産引き受けをしていない発起人・設立時取締役 → 免責される
預合い・見せ金
株式引受人は、引受価額を会社に払い込む必要があるが、振り込みが仮装される「預合い」と「見せ金」がある。
- 預合い … 預合いを行ったも者と事情を認識して応じたものは刑事罰。
- 見せ金 … 刑事罰ではないが振込自体は無効。
預合い
- 発起人が払込取扱銀行から金銭を借入れ、株式の払込に充てるが、借入を完済するまでは払込金の引き出しをしない旨が約される。
任務懈怠責任
- 設立時取締役・設立時監査役は、設立中の会社の監督機関として調査義務を負う。
- 調査義務を怠った場合、会社に対し連帯して損害倍書責任を負う。
- 任務懈怠責任は過失責任である。
設立時取締役・設立時監査役は、発起人でなくても責任を負う。
会社不成立の場合
- 発起人は連帯して、設立に関して支出した費用を負担する。
- 疑似発起人とは募集の広告等で会社の設立を賛助した人。(有名人など)
- 疑似発起人は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。
株式・株券・株主名簿
株主の義務
間接有限責任。株式の引受価額を限度とする出資義務を負うだけ。
株主の権利
会社から経済的利益を受ける権利。自益権は単独株主権。
- 剰余金配当請求権
- 残余財産分配請求権(会社解散時)
上記2つは定款によっても全部を奪うことはできない。
会社経営に参加する権利。
- 単独株主権…1人の株主でも行使できる権利
議決権、代表訴訟など - 小数株主権…一定の株式数を有する株主のみが行使できる権利
株主総会招集請求権、会計帳簿閲覧権など
株主平等原則
原則、株式の内容及び数に応じて平等の取り扱いを受ける。
ただし!
非公開会社においては、定款の定めにより、株主ごとに異なる取り扱いを行うことができる。
異なる種類の株式
また例外として、異なる種類の株式(種類株式)を定款で定めることができる。(定款で定めないとできない)
剰余金の配当、残余財産の分配について、優先・劣後的扱い、混合させた扱いを受ける権利。
公開会社では、議決権制限株式の数が発行済株式総数(「可能」ではない)の1/2を超えた場合、直ちに1/2以下にするための必要な措置をとらなければならない。
非公開会社にそのような制限はない。
譲渡による株式の取得について、当該株式会社の承認を要する旨の定めを定款で設けている場合における株式。
単元株
- 一単元の株式につき一個の議決権を認めるが、単元未満の株式には議決権を認めない制度。
- 単元未満株主は、単元未満株式を会社に買い取ることを請求できる。(単元未満株式買い取り請求権)
- 1単元の株式の数は、法務省令で定める数を超えることはできない。(1,000および発行済株式総数の1/200)
株券
- 株券は不発行が原則。
- 発行したければ定款に定めることもできる。
株主名簿
- 株式会社は必ず株式名簿を作成し、本店または株主名簿に関する事務を代行する株主名簿管理人の営業所に備え置かなければならない。
- 会社は株主への通知・催告を行えば足り、その発信がなされば、通常到達すべきであったときに到達したとみなされる。
株式の譲渡
株式譲渡方法
株券が発行されていない | 株券発行会社 | |
---|---|---|
譲渡の効力 | 意思表示のみ | 意思表示+株券の交付 |
対抗要件 (会社) | 株主名簿への記載 | 株主名簿への記載 |
対抗要件 (第三者) | 株主名簿への記載 | 株券の占有 |
株券が発行されていない場合、譲渡の効力は意思表示でOK。会社や第三者に対する対抗要件は株式名簿への記載。
一方、株券発行会社の譲渡の効力は、意思表示に加えて株券の交付も必要。会社への対抗要件は株主名簿への記載でよいが、第三者に対抗するには株券の占有が必要。
権利株
- 権利株とは株式引受人の地位。
- 権利株の譲渡は、株式会社に対抗できない。
譲渡制限株式
- 株式の譲渡制限に関する規定は、原始定款で定めなければならない。
- 会社設立後に定めるには、特別な定款変更の手続き(特殊決議)が必要。
- 相続、合併、一般承継による譲渡制限株式の取得は定款による譲渡制限は適用されず、会社の承認を得る必要はない。
取締役会の有無 | 承認機関 |
---|---|
あり | 取締役会 |
なし | 株主総会 |
譲渡制限株式
- 譲渡しようとする株主は会社に対し、譲渡を承認するか否かの決定を請求することができる。(単独で実施可能)
- 株主取得者も、取得したことを承認するか否かの決定を請求できるが、譲渡人と共同して行わなければならない。
上記1⃣で会社が承認しないとき。
- 株主は譲渡の相手方(会社または指定買取人)の指定を請求することができる。
- 株式取得者も会社に対し、譲渡の相手方の指定請求をすることができる。
- 指定請求は上記1⃣とセットですることができる。
会社が譲渡を承認しない場合、会社自ら譲渡制限株式を買い取るか、譲渡の相手方を指定しなければならない。
- 会社に対する関係では効力を生じない。
- しかし、譲渡は譲渡当事者間では有効。
自己株式の取得
自己株式取得の弊害
- 資本の空洞化(出資の払戻し)
- 株主平等の原則に反する(買い取ってもらえる人とそうでない人)
- 株価の人為的な操作
- 会社支配の校正を害する(買い取った株式で一票入れる)
このような理由から、昔の会社法では自己株式の取得は禁止されていた。
今の会社法では自己株式の取得は可能。ただし下記の規制がされている。
- 自己株式を取得することができるのは、会社法155条所定(株主との合意による有償取得、事業譲受け、吸収合併・分割、無償取得、株式買い取り請求に応じた取得等)の場合に限定されている。
- 取得の方法に応じて、一定の財源規制の下、一定の手続きに従う必要がある。
- 会社は株主との合意により自己株式を有償取得できるが、あらかじめ株主総会の授権決議によって、取得する株式の種類、数、対価、取得期間(1年以内)を定めなければならい。
- 株主総会は、定時株主総会でなくてもOK。普通決議でOK。
- 株主総会の決定に従い株式を取得するときは、具体的内容を会社(取締役会設置会社では取締役会)が決定し、株主に通知する。
- 株主総会の特別決議が必要。
- 売主追加請求できる旨を通知しなければならない。
- 子会社から自己株式を取得する場合、株主総会(取締役会)の授権決議のみでよい。
- 株主総会の授権決議があれば、市場取引または公開買い付けにより自己株式が取得できる。
- 取締役設置会社は定款の規定に基づき、取締役会の授権決議があれば、市場取引又は公開買い付けにより自己株式を取得できる。
取得方法 | 株主総会 | |
---|---|---|
株主との合意 により有償取得 する場合 | すべての株主から | 必要(普通決議でOK) |
特定の株主から | 必要(特別決議) | |
子会社から | 必要(取締役会設置会社では取締役会でもOK) | |
市場取引により取得する場合 | 不要(取締役会設置会社は、定款の規定に基づき、取締役会の授権決議があればOK) |
自己株式取得後の処理
- 会社は自己株式を処分する義務はなく、保有し続けることができる。(金庫株)
- 自己株式は議決権がない。
- 金庫株は取締役の決定で株式の消却ができる。
株主と株主総会
株主総会の位置づけ
- 株式会社の意思決定の最高機関
- すべての株式会社は、株主総会を設置しなければならない。
取締役会設置の有無 | 株主総会の決議事項 |
---|---|
あり | 株主総会の権限は会社の基本的事項に限定。 |
なし | なんでも株主総会で決める。 |
経営の専門家である取締役会を設置した会社では、株主総会の決議事項は制限され、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
株主の議決権
- 原則、一株式につき一議決権を有する。
- 例外は以下の通り。
- 議決制限株式、会社が取得した自己株式、単元未満株式は、議決権を行使できない場合がある。
- 非公開会社において一株一議決権の例外を定めた場合。(一人一議決権など)
特殊な議決権
- 代理人により議決権を行使することができる。
- 代理人は委任状を提出する必要がある。
- 総会屋対策のため、定款で代理人の資格を株主に限定することも有効。
- 会社の規模にかかわらず、議決権株主数が1,000名以上の場合、書面投票が義務付けられている。
- 書面によらず、電磁的方法でもOK。
- 2つ以上議決権を持っている場合、両方に投票することが会社法上認められている。
10票持っていて、6票賛成、4票反対。
- 会社は株主が他人のために株式を有するもの(例えば機関投資家)でないとき、不統一行使を拒むことができる。
- 取締役を選任する際、1人2票投票できるとして、2票を同じ人に投票することを累積投票という。
- ただし、累積投票制は定款で排除できる。
累積投票制度によって選任された取締役の解任には、出席株主の議決権の2/3以上の賛成が必要。
通常の取締役の解任は過半数でいいけどね。
株主総会の招集と進行
総会招集の手続き
- 原則、取締役(取締役会設置会社は取締役会)が日時等を決定し、代表取締役が招集する。
- 少数株主権として、株主総会の招集請求権および招集権が認められている。
- 招集地は本店の所在地や隣接地以外でもOK。
- バーチャルオンリー株主総会は可能。
招集通知の期限・方法
原則、株主総会の日の2週間前までに招集通知を発しなければならないが、非公開会社は例外がある。
原則通り、2週間前までに発送。
書面または電磁的方法による議決権行使を認めた場合を除き、1週間前までに発送。
非公開会社はすべて譲渡制限株式であるため、株主が頻繁に変わるわけではない。よって1週間前でOK。
取締役会設置会社ではない場合、定款をもって期間を短縮できる。
招集通知の期間短縮は不可能
書面または電磁的方法による議決権行使を認めた場合を除き、定款をもって1週間を下回る期間に短縮可能。
- 招集通知の方法は原則自由。
・書面または磁気的方法による議決権を認めた場合、または、
・取締役設置会社である場合、
通知は書面またはこれにかわる電磁的方法でしなければならない。 例外として、
株主提案権
株主総会の議題として予定されていないことを、議題に入れることを請求する権利。
取締役解任決議の予定はないのに、それを議題に入れて!
自分が議決権を行使することができる事項しか提案できない。
株主総会の目的である議題について、議案を提出する権利。
取締役を選任することは決まっているが、候補に〇〇さんも入れて!
上記2⃣の議案を、株主総会の招集通知に記載することを請求する権利。
取締役会設置会社 | 取締役会非設置会社 かつ 非公開会社 | |
---|---|---|
・議題提案権 ・議案要領通知請求権 | 少数株主権 (一定割合あるいは一定数の株式が必要。) | 単独株主権 |
・議案提案権 | 単独株主権 | 単独株主権 |
取締役会設置会社の議題提案権は、少数株主権であり、それ以外は単独株主権であることを覚えておこう。
議題はそれらを含む広いテーマや話題を指し、議案はそれに対しての具体的な提案や決定すべき事項。
提案できる議案の数は10までと言う上限がある。総会屋対策。
決議事項
- 定足数:議決権の過半数を有する株主が出席
- 決議要件:その出席株主の議決権の過半数
- 定足数、決議要件は、定款で別段の定めを設けることができる。
「議決権」であることに注意!株式数や株主数ではない。
- 定足数:議決権の過半数を有する株主が出席
- 決議要件:その出席株主の議決権の2/3以上
- 決議要件は定款によって加重はできるが、緩和することはできない。
- 定款変更により株式の譲渡制限を設ける場合は特殊決議が必要。
特殊決議はこれだけ覚えておけばOK。
取締役の機能
株式会社の機関
必要機関 | 任意機関 |
---|---|
・株主総会 ・取締役 | ・会計参与 ・監査役 など |
ここでは、すべての株式会社に設置される取締役について学ぶ。
- 取締役は、株主総会の普通決議をもって選任され、解任できる。
- 株式会社は1人または2人以上の取締役を置く必要がある。
- 取締役設置会社においては、取締役は3人以上でなければならい。
多数決がとれるようにするため3人以上。
- 取締役と会社の関係は委任関係。(雇用関係ではない)
- 善管注意義務を負い、忠義義務(忠実に職務を行う)が定められている。
競業避止義務
- 【取引前】取締役が自己または第三者のために競業取引をするには、事前に重要な事項を開示して、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の承認を得なければならい。
- 【取引後】取締役設置会社では当該取引後に遅滞なく、取引について重要な事実を取締役会に報告しなければならい。
- 会社が一時休止している事業
- 事業の準備に着手している事業
定款に記載されていても、会社が行う準備を全くしていない事業などは競業取引には当たらない。
- 株主総会(取締役会)の承認を受けずに行った競業取引は、取引自体は有効。
- 会社の承認の有無にかかわらず会社に損害が発生した場合、取締役に任務懈怠(けたい)があれば、取締役は会社に対して損害賠償責任を負う。
- 損害額は、取締役または第三者が得た利益の額と推定される。
利益相反取引
会社の不利益になり、取締役の利益になる取引。
会社と第三者間のとりひきのうち、会社と取締役菅で利益が相反する取引。
- 【取引前】利益相反取引をする場合、事前に重要な事項を開示して、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の承認を得なければならい。
- 【取引後】取締役設置会社では当該取引後に遅滞なく、取引について重要な事実を取締役会に報告しなければならい。
上記は競業避止義務と同じ。
- 会社の不利益にならない取引は、利益相反取引に含まれない。
- 株主総会(取締役会)の承認を受けずに行った競業取引は、取引自体は無効。
取引の効果は競業避止義務と違う。
- 会社の承認の有無にかかわらず会社に損害が発生した場合、取締役に任務懈怠(けたい)があれば、取締役は会社に対して損害賠償責任を負う。
- 会社の承認の有無にかかわらず、
①利益相反取引をした取締役
②利益相反取引をすることを決定した取締役
③取締役会の承認決議に賛成した取締役
は任務を怠ったものと推定され、連帯して損害賠償責任を負う。
取締役の責任
会社に対する責任
- 取締役が任務を怠り、会社に損害を与えた場合、会社に対して損害賠償責任を負う。
- 監査役設置会社では、会社が取締役に対して訴えを提起する場合、監査役が監査役設置会社を代表する。
仲間意識が強い取締役同士だと、訴えづらいため。
- 総株主の同意があれば、責任は免除される。議決権制限株主も含まれる。株主総会でなくてよい。
- 善意かつ重大な過失がないときに限り、株主総会の特別決議か、定款規定に基づく取締役の過半数の同意をもって、一定額を限度として責任を免除できる。(全額免除はできない)
- 社外取締役など非業務執行取締役は、責任限定契約を締結できる。(就任時に締結する)
責任重大な取締役になってくれる人が見つけにくいため。
株主代表訴訟
- 株主が会社のために、取締役の責任を追及する訴えを提起できる制度。
- 単独株主権。
- 訴えを提起する前に、提訴請求する必要ある。(いきなり訴えることはできない)
第三者に対する責任
取締役は、故意または過失によって第三者に損害を与えた場合は、不法行為責任(民法)を負う。
取締役がその職務を執行するについて、悪意または重大な過失により第三者に損害を与えた場合は、損害賠償しなければならない。(会社法)
民法よりもこちらの会社法による訴えのほうが成立しやすい。
- 取締役は刑事罰を受けることもある。
取締役会の機能
取締役会
すべての取締役で構成される。
取締役会の権限
お互いを監督する。
取締役会の設置
- 公開会社は取締役会を設置しなければならない。
- 非公開会社で取締役が複数いる場合、取締役会を設置しなくてもOK(任意)。
取締役会の決定事項
取締役会の運営
- 取締役会の決議は、決議に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
ここ↑は株主総会と同じ。
- 取締役会では1人1議決権。
ここ↑はちがう。株主総会では1人で複数の議決権を持つ場合がある。
- 定足数・議決要件は、定款の定めにより加重することができる。しかし軽減できない。
議決要件は株主総会の特別決議事項と同様。
- 取締役会の決議の省略制度があるが(持ち回り決議)、代表取締役及び業務執行取締役の職務執行状況に関する報告は省略が認められない。
持ち回り決議が認められているのは、定款で定めがある場合に限られる。取締役会では経営の専門家たる取締役が、議論を尽くして意思決定することが求められているから。
取締役会議事録
- 議事録は書面または電磁的記録により作成しなければならない。(義務)
- 出席した取締役及び監査役は、これに署名または記名押印しなければならない。
- 参加した取締役で議事録に異議をとどめない者は、決議に賛成したものと推定される。
- 議事録は取締役会の日から10年間、本店に据え置き、株主・会社債権者の閲覧に供しなければならない。
社外取締役
- 公開会社かつ大会社である監査役会設置会社で、有価証券報告書提出義務を負う株式会社(つまり上場会社)は、社外取締役を設置しなければならない。
- 資本金として計上した額が5億円以上 あるいは
- 負債に計上した額の合計額が200億円以上
大会社は会計監査人を設置しなければならい。
- 従業員は当該株式会社の社外取締役に就任できない。
- 過去10年間、当該株式会社又はその子会社で業務執行役員等であったもは、社外取締役になることはできない。
代表取締役
代表取締役は、会社を代表し、かつ業務執行を行う。
代表取締役の設置
- 原則:代表取締役は任意機関である。
- 例外①:取締役会設置会社の場合、代表取締役は必要機関。
- 例外②:指名委員会設置会社の場合、代表取締役を設置することはできない。
選定・終任
- 取締役会設置会社では、取締役会が代表取締役を選定する。
- 員数に制限はなく、1人でも数人でもよい。
- 複数の代表取締役が定められている場合でも、各自が単独で会社を代表する。
- 代表取締役は取締役であるため、取締役の資格を失うと、代表取締役の資格も失う。
代表取締役の終任は取締役会で、取締役の解任は株主総会で決める。
代表取締役の権限
- 代表権の範囲は、業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為を含む包括的なものである。
- 会社は定款、取締役会規則、取締役会決議等により制限を加えることができるが、この制限は第三者に対抗できない。
たとえば…
代表取締役が2人いて、そのうちの1人が契約を締結した。ただ会社の定款には契約は代表取締役2名が共同して行わなければならないとされていて、相手方が善意の場合、会社は相手方に対して契約の無効を主張できない。
表見代表取締役
- 表見代表取締役とは、いわゆる役付取締役で、実際に代表権を有していない取締役のこと。
- 取引の相手方がその取締役に代表権があると誤信した場合は、その取締役の行った行為の効果は直接会社に及ぶ。
会社債務と代表取締役
- 会社が金融機関から融資を受ける際、実務上、代表取締役が連帯保証人になることが条件とされることがあるが、代表取締役であれば当然に会社債務について直接的な責任を負担するわけではない。
会計参与とは
会計参与の設置
- 会計参与は取締役と共同して、計算書類及び附属明細書を作成する。
- 会計参与は株式会社の役員であるため、取締役に準じた扱いを受ける。
- 会計参与はすべての会社において任意に設置することができるが、公認会計士もしくは監査法人、または、税理士もしくは税理法人でなければならない。
権限と義務
- いつでも会計帳簿またはこれに関する資料を閲覧および謄写(とうしゃ)することができる。
- いつでも取締役及び支配人、その他使用人に対して、会計に関する報告を求めることができる。また会社の業務・財産の状況を調査することができる。
- 取締役会設置会社の会計参与は、計算書類等を承認する取締役会に出席しなければならない。
監査役
監査役は会社の業務全般にわたり、取締役及び会計参与の職務執行を監査する。
監査役の設置
- 取締役会設置会社は監査役を置かなければならない。
選任・解任
- 監査役は、株主総会で選任・解任される。
- 辞任した監査役は、辞任後最初に招集される株主総会に出席し、監査役を辞任した旨及びその理由を陳述することができる。
- 監査役の解任については株主総会の特別決議が必要である。
選任は普通決議、解任は特別決議。身分保障を厚くしている。
- 監査役は公認会計士である必要はない。
- 監査役は当該会社の会計参与を兼ねることはできない。
役職 | 資格 |
---|---|
会計参与 | 税理士か会計士 |
監査役 | 不要(法律に詳しい人が望ましい) |
会計監査人 | 会計士 |
監査役は下記の兼職が禁止されている。
- 自己監査(同じ会社の取締役と監査役を兼ねる)
- 支配されている人が支配している人を監査する(子会社の取締役が、親会社の監査役をする)
監査の種類
非公開会社で、監査役会及び会計監査人を設置していない会社は、定款の定めににより、監査役の権限を会計監査権に限定することができる。
※公開会社は会計限定監査人を設置することはできない。
監査の種類 | 監査役の業務範囲 | |
---|---|---|
会計監査(計算書類) | 範囲内 | |
業務監査 (取締役の職務執行) | 適法性監査 | 範囲内 |
妥当性監査 | 範囲外 |
権限と業務
- 監査役は取締役及び会計参与、使用人に対して、事業の報告を求め、業務・財産の調査をすることができる。(会計参与と同じ)
- 監査役は子会社に対しても事業の報告を求め、子会社の業務・財産の状況を調査することができる。(会計参与と同じ)
- 監査役は取締役会に出席し、必要があるときは意見を述べなければならない。
会計参与はすべての取締役会にでなければならないわけではなかったね。
- ★監査役は会社に著しい損害を生ずる恐れがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。(遅滞なく取締役会で報告する)
- 監査役は株主総会において監査役の選任・解任・辞任について意見をのべることができる。
- 取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出する場合、監査役の同意を得なければならない。
監査役
監査役会はすべての監査役で組織され、常任監査役の選定・解職等を行う。
監査役会の設置
- 原則、監査役会は任意機関であるが、大会社で公開会社は必須である。
- ただし、指名委員会設置会社、監査等委員会設置会社では監査役会は設置できない。
- 監査役会設置が会社は、取締役会を設置しなければならない。
- 監査役は3人以上で、そのうち半数以上は社外監査役でなくてはならない。
会計監査人
会計監査人とは
- 会計監査人とは、会社の計算書類およびその附属明細書等の監査をする機関。
- 会計監査人は役員ではないが、役員に準じて扱われる。
会計監査人の設置
- 大会社
- 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社
会計監査人設置会社は、監査等設置委員会設置会社や指名委員会等設置会社でなければ、監査役の設置が強制される。
会計監査人と監査役はセットだね。
- 上記以外の会社にも任意に置くことができる。
選任・解任等
- 会計監査人には、公認会計士又は監査法人が株主総会で選任される。
- 監査役設置会社では、株主総会に提出する会計監査人の選任・解任等に関する議案の内容は、監査役が決定する。
権限
- 調査権限(会計帳簿等の閲覧謄写権)
- 意見陳述権(計算書類等が法令又は定款に適合するかについて監査役等の意見が異なるときは、定時株主総会に出席して意見を述べることができる。)
指名委員会等設置会社
- 株主総会
- 取締役会(代表取締役)
- 監査役
- 株主総会
- 取締役会(代表執行役・執行役)
└監査委員会・報酬委員会・指名委員会 - 会計監査人
- 株主総会は存在する。
- 取締役会の設置が強制される。
- 代表機関は代表執行役。代表取締役は存在しない。
- 監査役を設置できない。会計監査人の設置が強制される。
取締役会
- 法の定める基本事項を除いて、業務執行の決定を執行役に委任することができる。
- 内部統制システムの整備は取締役会で決定しなければならない。
各委員会
- 指名委員会、監査委員会、報酬委員会の三委員会は一括設置。
- 各委員会は、取締役3人以上で組織する。
- 各委員会の委員の過半数は社外取締役でなければならない。
取締役も社外取締役も、多人数必要。
指名委員会
- 取締役の選任・解任に関する議案の内容を決定する。
案を出すだけ。
監査委員会
- 監査役の業務とほぼ同じ。(取締役会への報告義務、差止請求、業務・財産状況調査権、子会社調査権)
報酬委員会
- 執行役、取締役、会計参与の「個人別」の報酬の内容を決定する。
- 従業員の報酬を決定する権限はない。
執行役
- 指名委員会等設置会社では、会社の業務執行権限は執行役に専属し、取締役は原則として業務執行を行うことができない。
が、
- 取締役は執行役を兼任することができる。
本当は望ましくないが、取締役の数が多くなりすぎてしまうので仕方ない…
監査等委員会設置会社
- 株主総会
- 取締役会(代表取締役)
- 監査役
- 株主総会
- 取締役会(代表取締役)
└監査等委員会 - 会計監査人
- 監査等委員は取締役でなければならず、3人以上で、その過半数は社外取締役でなければならない。
- 監査等委員会設置会社は、取締役会と会計監査人を設置しなければならず、監査役を設置することはできない。
剰余金の配当
配当手続
- 株主総会(普通決議)によりいつでも剰余金の配当を行うことができる。
- 年1回に限られるわけではない。
- 現物配当も可能。ただし金銭分配請求権を与えない場合は、株主総会の特別決議が必要。
- 取締役会設置会社は、1事業年度の途中において1回限り、取締役会決議により剰余金の配当(金銭のみ)をすることができる旨を定款で定めることができる。
配当基準と財源規制
- 配当は分配可能額を超えてはならない。
- 純資産額が300万円未満の場合、剰余金があっても株主に配当することはできない。
違法配当
違法配当により、
- 金銭等の交付を受けた株主
- 職務を行った業務執行者(業務執行取締役・取締役など)
- 株主総会・取締役会における議案提案取締役
は、株主が交付を受けた金銭等の帳簿価格に相当する金銭を支払う義務を負う。
- ①株主は過失の有無に関係なく、②業務執行者と③議案提案取締役は、過失があれば金銭を支払う義務を負う。
- ②業務執行者と③議案提案取締役は、総株主の同意があれば、分配可能額を上限として、その義務を免除できる。
- 違法配当を行った業務執行者は、刑事責任を負う。
- 業務執行者と議案提案者が金銭を支払った場合であっても、善意の株主は求償に応じる義務はない。
- 会社債権者は株主(善意・悪意を問わない)に対し、自己の債権額を限度として自己に払わせることができる。
会社の計算
連結計算書類制度・連結財務諸表
- 会計監査人設置会社は、連結計算書類を作成することができる。
- 事業年度末において大会社であり、かつ金融商品取引法に基づく有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない会社(つまり上場会社)は連結計算書類の作成を義務付けられている。
企業買収
事業の譲渡による企業買収
- 事業の譲渡とは、機能財産の全部または重要な一部を譲受人に移転させる契約である。
事業の一部(工場だけ、ノウハウだけ、客だけ)ではなく、一括で譲り渡すこと。
- 譲渡会社は競業避止義務を負う。
譲ってからしばらくは、譲り渡した事業はできない。
事業の譲渡手続き
※取締役会設置会社の場合
- 譲渡会社…特別決議による承認が必要
- 譲受会社…特別決議による承認が必要
- 譲渡会社…特別決議による承認が必要
- 譲受会社…特別決議による承認は不要
反対株主は株式買い取り請求権を有する。
事業譲渡の結果、会社の事業目的に変更を生じたときは定款の変更が必要。
定款の変更は株主総会の特別決議による承認が必要。
事業の譲渡の効果
- 債務は移転しない。
- 従業員との雇用関係は原則移転しない。従業員の承諾があれば移転する。
- 事業の全部を譲渡しても、譲渡会社が当然に消滅するわけではない。
定款を変更して、新たな事業を行うことができるから。
合併
合併の種類
- 合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併後存続する会社に継承させる。
- 消滅する会社の権利義務の全部を、合併により設立する会社に承継させる。
- 新設合併は殆どされない。営業許認可の申請や上場手続きを新たに取らなければならないため。
※合併は4種(株式会社、合同会社、合資会社、合名会社)の会社間で自由に合併できる。
合併の効果
- 合併が行われると、消滅会社の財産は清算手続きを経ないで、包括的に存続会社または新設会社に移転する。
- 合併後、存続会社以外の会社は、合併の登記により消滅する。この場合、清算手続きは不要。
合併の際、清算手続きは不要。
合併の手続き
- 合併契約書の作成は、会社法上、要求されていない。
一方…
- 株式会社においては法務省令所定の事項を記載した書面・磁気的記録を本店に備え置かなければならず、株主や債権者は、消滅会社にたいしてこれらの書面・記録を閲覧、謄本等の請求をすることができる。
- 合併の対価は、存続会社の株式に限られない。
- 合併を行うためには、株主総会の特別決議による承認または、総社員の同意が必要。
- ただし、下記の例外あり。
簡易合併
消滅会社に治して交付する対価が、存続会社の純資産額の1/5を超えない場合、存続会社の株式会社の承認を要しない。
つまり、吸収会社にとって合併のインパクトが大きくないとき。
略式合併
存続会社が消滅会社の特別支配会社(総株主の議決権の9/10以上を持っている)である場合、消滅会社の株主総会による特別決議は不要。逆も然り。
支配されている側の特別決議は不要。
合併に反対する株主の株式買い取り請求権
- 債権者に対して合併についての異議申し立ての機会を与え、申し出た債権者には、弁済または相当の担保を提供しなければならない。
異議申し立ての機会が与えられるだけで、合併が止められるわけではない。
- 会社の合併により、競争を実質的に制限することとなる場合、独占禁止法による制限を受ける。
会社分割
- 会社分割できるのは、株式会社と合同会社のみ。(合名・合資会社は不可)
- 承継会社または新設会社は、4種類なんでもOK。
- 新設分割と吸収分割がある。
会社分割手続
※合併手続きとほぼ同じ
事前開示が必要!
- 新設分割…分割会社の株主総会の特別決議による承認が必要
- 吸収分割…分割・承継会社双方の株主総会の特別決議による承認が必要
会社分割に反対する株主に対するもの
簡易的な会社分割
- 承継させる資産の帳簿価格の合計が、吸収分割会社の総資産額の1/5を超えない場合、吸収会社での株主総会にの承認は不要。
- 吸収分割会社に対して交付する対価が、吸収分割承継会社の純資産の1/5を超えない場合は、吸収分割承継会社での株主総会の承認は不要。
略式分割
- 吸収分割承継会社が、吸収分割会社の特別支配会社(90%以上)である場合、吸収分割会社では原則として株式会社の承認は不要。逆も然り。
被支配会社においては、原則として株主総会の承認は不要。
労働契約の継承
労働者に対する事前の書面通知をしなければならない労働者
- 承継対象となる事業に主として従事する労働者→Cさん・Dさん
- 承継対象となる労働者→Bさん
書面により異議を申しでることができる労働者
- 承継の対象となる事業に主として従事していた労働者の労働契約が、継承の対象とされていない場合→Dさん
- その他の労働者の労働契約が、承継の対象とされとされている場合→Bさん
詐害的(さがいてき)会社分割
- 会社分割を利用して、分割会社が保有する優良資産のみを承継会社に継承させて、債務を分割会社に残したままにすることにより、債務の支払いを免れようとするような場合。
- 分割会社が承継会社に承継されない債務の債務者を害することを知って吸収分割をした場合は、残存債権者は、承継会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
親子会社
- 総株主の議決権の過半数という形式的基準を充たしていなくても、経営を支配している法人として法務省令で定めるものという実質的基準を充たしていれば、親子会社関係が認められる。
- 孫会社も会社法上の子会社に含まれる。
親子会社に対する規制
- 子会社は親会社の株式を取得してはならない。逆はOK。
- 相互保有株式(互いに総株主の議決権の1/4以上を持っている場合)は、議決権が制限される。親会社が子会社の議決権を行使することはOK。
- 親会社監査役は子会社調査権を持つ。
- 親会社の監査役は子会社の取締役を兼ねることはできない。一方、子会社の監査役が親会社の取締役を兼ねることはできる。
- 大会社かつ有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない会社(つまり上場会社)は、連結計算書類の作成を義務付けられている。
株式交換
- 既存の会社が完全親会社になる方法。
- 発行済み株式の全部を、他の株式会社または合同会社に取得させること。
- A社は株式会社か合同会社。
- B社は株式会社。
- A社・B社は株式交換契約について、株主総会の特別決議による承認が必要。
- それに反対する株主には、株式買取請求権が認められる。
株式移転
- 1又は2以上の株式会社が、その発行済み株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させること。
- 親会社も子会社も株式会社である必要あり。
- 子会社は、株主総会の特別決議による承認が必要。反対する株主には株式買取請求権が認められる。
株式交換は既存の会社が完全親会社になる方法。
株式移転は新たに会社を作って親会社になる方法。
ここまでは完全親子会社(100%)の話。ここからは100%ではない親子会社の話。
株式交付
- 子会社とするために株式を譲り受け、譲渡人にその対価として、自社の株式を交付する制度。
- 親会社は株主総会の特別決議による承認が必要。反対する株主には株式買取請求権が認められる。
資金調達
細かいところは出ないので、大まかなところだけ押さえよう。
資金調達の方法
外部資金 | 募集株式の発行、社債、借入金 |
内部資金 | 利益の内部留保、利益準備金など |
募集株式の発行等
- 会社設立の際、公開会社は発行可能株式総数の1/4以上を発行しなければならない。
- 会社設立後は、取締役会決議だけで募集株式を発行することができる。
原則、株主総会の決議は不要。
ただし、株主割り当て以外の募集株主の発行であって、特に有利な価額で発行する場合(有利発行)には、株主総会の特別決議が必要。
- 定款を変更して発行可能株式総数を増加することもできるが、公開会社の場合、発行済株式の総数の4倍を超えることはできない。非公開会社にそのような規制はない。
- 募集株式を発行する場合、株主総会の特別決議が必要。
会社設立後、公開会社の場合は株式募集は特別決議は不要だが(有利発行以外)、非公開会社の場合は特別決議が必要。
募集株式の発行手続き
- 既存のすべての株主に株式の割り当てを受ける権利を付与して、その持ち株数に比例して募集株式を割り当てる場合
- 公募…広く一般から株主を募集する
- 第三者割当て…特定の第三者に割り当てる
- 募集株式を引き受ける者にとって特に有利な金額である場合、公開会社においても株主総会の特別決議が必要。(既存株主保護のため)
- 募集株式の引受人は、所定の払込期日または払込期間内に出資の履行をした場合、当該払込期日または当該履行をした日に募集株式の株主となる。
救済措置
不正な募集株式の発行等に対する救済措置。
- 募集株式の発行等差止請求権
- 株主が不利益を受ける恐れがあるときに、株主は募集株式の発行・自己株式の処分をやめることを請求できる。
- 募集株式の引受人の差額支払義務
- 募集株式の引受人が取締役と通じて著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた場合、会社に対し公正な価格との差額を支払う義務を負う。
- 新株発行無効の訴え
- 自己株式処分無効の訴え
- 新株格好等不存在確認の訴え
社債
- 株式会社だけではなく、合名・合資・合同会社も発行できる。
- 発行限度額の制限(上限)はない。
- 新株予約権付き社債の発行みとめられている。
- 社債権者は株主総会で議決権を行使できない。
公開会社は、取締役会決議で新株予約権を発行することができる。
金融機関等からの資金調達
- 借り入れが多額に上るときは、取締役会の決定を要する。
コマーシャルペーパー(CP)
- 短期資金調達のため、日本国内で発行する約束手形。
- 機能的には社債だが、法的性格は約束手形。
解散・清算
解散
解散後、精算が結了するまで株式会社は存続するものとみなされる。
- 解散事由の発生
- 解散の登記
- 清算事務終了
- 決算報告について、株主総会の承認 ← この時点で会社の権利能力は消滅する
- 清算結了の登記
破産開始手続きの終了により、会社は消滅する。
株主総会の特別決議による解散。
合併の登記により消滅し、清算手続きは要しない。
破産と合併は、清算手続きをしなくても解散する。
会社の継続
- 清算を結了するまでの間、株主総会の特別決議により会社を継続できる。
清算
- 清算中も株主総会は存続する。
- 会社が清算手続きに入ると、取締役はその地位を失う。
- 取締役に代わって清算人が業務を執行し、会社を代表する。
- 原則として清算人には取締役がそのまま選任される。
- 清算人会の設置は任意。
- 監査役・監査役会の設置は任意である。
- 毎期株主総会を開催し、精算事務等の報告を行わなければならない。
- 清算事務が終了したとき、決算報告書を作成し、これを株主総会に提出して承認を得なければならない。
- 決算報告の株主総会の承認決議を得た時点で、会社の権利能力(法人格)が消滅する。
- 清算結了の登記は、清算結了の効力要件ではない。
- 現務の結了
- 債権の取り立て及び債務の弁済
- 残余財産の分配