脱炭素社会の実現に向けて注目が高まる「GX(グリーントランスフォーメーション)」。その基礎知識を体系的に学べるのが「GX検定ベーシック」です。
本記事では、合格を目指す方に向けて、出題範囲・重要キーワード・頻出テーマをわかりやすく整理しました。
どこから勉強を始めればよいか迷っている方や、効率的に合格ラインを突破したい方にぴったりの内容です。
まずは試験の全体像をつかみ、重点的に学習すべきポイントを押さえていきましょう。
エネルギーの可採年数

石油・天然ガスが50年程度。
石炭は130年程度。
| 資源 | 概算残存年数 |
|---|---|
| 石油(原油) | 約 40~50年 程度 |
| 天然ガス | 約 50~60年 程度(シェールガス革命などにより増加) |
| 石炭 | 約 100年~130年+ 程度 |
| ウラン | 100年以上~数百年 の可能性 |
頁岩(シェール)という岩石の層に閉じ込められている天然ガスで、主成分はメタン。2000年代後半以降に米国の技術革新によって採掘が可能になり、世界のエネルギー市場に大きな影響を与えた(シェール革命)。メリットとしては、埋蔵量の多さや、従来の天然ガスに比べて価格が安定しやすいことが挙げられるが、採掘時の大量の水の使用や、メタンガスの放出による環境問題が課題。
温室効果ガスの種類

7種類あるよ!
- 地球温暖化係数:1
- 地球温暖化係数:25
- 天然ガスの主成分。よく燃える。
- 家畜のげっぷ、排泄物、ごみの埋め立て、水田から発生。
水田は 水で満たされた「酸素の少ない環境」 になっている。
この中で、土の中の微生物が植物の残がい(わらや根など)を分解するとき、酸素を使えないために、「メタン生成菌」 という微生物が働き、メタン(CH₄) を作り出す。
水田は世界のメタン排出量の約10%前後を占めるといわれている。ただし、田の水を一時的に抜く(中干し) などの方法で、メタン排出を減らすこともできる。
- 地球温暖化係数:298
- 別名笑気ガス(医療用麻酔)
- 化学肥料、家畜の排せつ物(土壌中の微生物により分解されるとき)、工業プロセス、燃料の燃焼
- 地球温暖化係数:1,430など
- 人工的にに作られたガス。
- 冷蔵庫やエアコン、スプレー、発泡スチロールの製造などで使われる冷媒ガスの一種。
- 特定フロン(CFC)や代替フロン(HCFC)の代わりとして使用される。
- オゾン層は破壊しないが、温室効果は非常に高い。
- 地球温暖化係数:7,390 など
- 人工的に作られたガス。
- 無色・無臭・化学的に安定しており、壊れにくいのが特徴。
- 半導体の製造工程(洗浄ガス)やアルミ製造で使用される。
- 地球温暖化係数:22,800 など
- 人工の気体。とても安定している。自然界にはほとんどない。
- 電力設備(変電所など)の高電圧スイッチ・遮断器の絶縁ガスとして使用される。
- 地球温暖化係数:17,200 など
- 人工の気体。科学的にとても安定。自然界にはほとんど存在しない。
- 液晶パネル(LCD)や半導体の製造工程で使われる「洗浄ガス」。
- 太陽電池の製造にも利用される。
- 二酸化炭素
- メタン
- 一酸化二窒素
地球上における二酸化炭素循環(IPCC第六次評価報告書ベース)
| 区分 | 割合 |
|---|---|
| 🌊 海洋からの排出 | 33.7% |
| 🌊 海洋での吸収 | 34.6% |
| 🏭 人間活動からの排出 | 4.8% |
| 🌱 土壌からの排出 | 61.3% |
| 🌳 森林での吸収 | 57.7% |
| その他 | 0.2% |
| ☁️ 大気中に残留するCO₂ | 7.7% |

排出量が一番大きいのは『土壌』🌱
脱炭素に向けた国際的な歩み
- 1973年 第1次オイルショック
- 1979年 第2次オイルショック
- 1985年 オゾン層の破壊が発見される(イギリス南極調査隊)
- 1987年 モントリオール議定書

「フロンガスを減らして、オゾン層を守ろう!」という世界の国々が協力して結んだ約束。
- 1988年 IPCC設立

気候変動に関する政府間パネル。
国連(UN)と世界気象機関(WMO)が設立。
- 1992年 リオ地球サミット。UNFCCC採択。

UNFCCCは国連気候変動枠組条約。

地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出を抑え、気候変動を防ぐこと。すべての国が協力して、人為的な温暖化を危険な水準にしないようにするのが目標。
- 1997年 COP3・京都議定書の採択
- 2015年 COP21・パリ議定書採択
Conference of the Parties(締約国会議) の略。
「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」に参加している国々が集まり、地球温暖化対策を話し合う国際会議のこと。
1995年から年1回開催。COP1はベルリン。
| 回 | 年 | 開催地 |
|---|---|---|
| COP3(1997年) | 京都(日本) | 「京都議定書」採択(先進国に削減義務) |
| COP21(2015年) | パリ(フランス) | 「パリ協定」採択(すべての国が削減目標を) |
| COP26(2021年) | グラスゴー(英国) | 石炭利用削減・1.5℃目標強化 |
| COP28(2023年) | ドバイ(UAE) | 化石燃料の「段階的削減」に合意の方向性 |
京都議定書
- 1997年、COP3で採択。2005年に発効。
- 先進国に温室効果ガスの削減義務を課した初めての条約。
- クリーン開発メカニズム(先進国が発展途上国で温暖化対策を行い、その削減分を自国の成果としてカウントできる仕組み)
- 2001年にアメリカが離脱。
- 2011年にカナダも離脱。
- 当時、日本のCO2排出量は約5%だった。

アメリカは1997年に京都議定書に署名したが、最終的に批准(正式に参加)せず、2021年に離脱を表明。理由は途上国に義務がないことと、経済に悪影響がでるため。
・義務あり、罰則あり
・1990年比で、日本6%、アメリカ7%、EU8%
・義務なし
- 京都議定書の合意時 … 59%
- 第2約束期間(2013年-) … 13.5%
パリ協定
- 目標は、世界の平均気温の上昇を 産業革命前より2℃より十分低く、できれば1.5℃以内に抑えること。
- 🌏 すべての国が参加 … 先進国だけでなく、途上国も温室効果ガス削減に取り組む。
- 📈 各国が目標を自主的に設定 … 「NDC(国別目標)」として提出し、5年ごとに見直す。
- 💰 先進国が支援 … 発展途上国への資金・技術支援を行う。
- 🌿 長期目標 … 21世紀後半に「温室効果ガスの排出実質ゼロ」をめざす。
- パリ協定の目標に、世界全体でどこまで近づいているかを確認する「世界的な成果点検」のこと
- 5年ごとに実施状況を確認
- 初回のグローバル・ストックテイクは2023年(COP28)で完了
- 次回は2028年に実施予定
IPCC
- 気候変動に関する政府間パネル
- 地球温暖化について世界の科学者が共同で評価する国際機関
- 1988年に国連(UN)と世界気象機関(WMO)によって設立された
- 世界中の研究をまとめて、地球温暖化の現状・原因・影響・対策を科学的に評価
- 各国政府や国際会議(COPなど)に科学的根拠を提供する
- 政策の提案は行わず「科学的中立性」を重視
- 2021年-2022年
- 人間活動が気候変動の主な原因である(疑う余地なし)
- 影響・適応・リスクが広範囲かつ深刻になってきている
- 温室効果ガスの削減・脱炭素化が緊急かつ深刻な対応を必要とする
→適応と削減を同時に進める必要がある
緩和と適応
- 緩和…原因を少なくする
- 適応…影響に備える
節電 省エネ エコカー 再生可能エネルギー 植林
熱中症予防 災害に備える 感染症予防
脱炭素化
- 「電源の脱炭素化」と「需要の電化」を同時進行すうる必要がある
ESG投資
- 環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G) の3つの観点を重視する投資
- サステナブルファイナンスの一部
- 単に利益や株価だけでなく、「地球や社会にどんな影響を与えているか」も評価して投資する考え方
- 🌍 E:Environment(環境)…環境への配慮
CO₂削減、再エネ利用、廃棄物削減、省エネ - 🤝 S:Social(社会)…社会への責任
働き方、ダイバーシティ、人権、地域貢献 - 🏛️ G:Governance(ガバナンス)…経営の健全性
法令遵守、透明性のある経営、取締役の多様性
定義:
既に資金を投じている投資対象から金融資産を引き揚げること。
目的:
環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点で評価が低い企業、特に化石燃料関連企業などを投資対象から除外するために行われる。
情報開示(国際的)
- ISSB(国際サステナビリティ基準審議会) は、IFRS Foundation(国際会計基準財団)によって 2021年11月(COP26) に創設された機関
- 目的は「サステナビリティ(持続可能性)関連情報」の世界共通の基準(グローバル・ベースライン)を策定すること
- ISSB は IFRS S1/IFRS S2 という、サステナビリティ関連開示のための主要な基準を策定・公表している。
- IFRS S1:「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する一般要求事項」
- IFRS S2:「気候関連開示(climate-related disclosures)」
情報開示(国内)
- コーポレートガバナンス・コードを改定。
- コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業が 「会社をどうやって公正・透明に経営するか」 を示すための 指針。
- コーポレートガバナンス・コードは “Comply or Explain”。開示せよ、あるいは説明せよ。
- 目的は経営の健全性・透明性・説明責任 を高めること
- 2015年に金融庁と東京証券取引所が策定
- 2021年に改訂(ESG・サステナビリティ・人的資本などを強化)
- コードそのものは全市場(プライム/スタンダード/グロース)対象だが、義務化・審査対象となるのはプライム市場。
- プライム市場:すべての原則が対象(より高い水準の原則)
- スタンダード市場:すべての原則が対象
- グロース市場:基本原則のみ
国際的な枠組み
🌱 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
- 企業に「気候変動リスク・機会」を開示するよう促す国際的な枠組み。
- 日本:1位
🌿 SBTi(Science Based Targets initiative)
- パリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する GHG 排出削減⽬標のこと。
- 日本:1位
● SBT 認定があると CDP(Carbon Disclosure Project) で得点が上がる
● 投資家や消費者にアピールできる
● 削減⽬標の設定に活⽤できる
💧 RE100
- 「企業活動の電力を100%再エネでまかなう」ことを目指す世界的な企業連合。
- 日本:2位(1位はアメリカ)
🏭 Race to Zero
- 国連が主導する、温室効果ガス排出実質ゼロを目指すグローバルキャンペーン。
カーボンプライシング
- 酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの排出に「価格(=コスト)」をつけるしくみのこと
🌱価格が明示されている
- 炭素税
- 排出量取引制度
🌱価格が明示されていない
- エネルギー諸税
- 証書・クレジット制度
- 省エネ法
- FIT
CO2排出量
中国
- 石炭依存度が非常に高く、これまで排出増の主因だった。
- しかし同時に、太陽光・風力・水力・原子力など再生可能・低炭素電源への設備投資が急増しており、これが「排出ピーク化」の可能性を支えている。
アメリカ
- 石炭火力の発電量が大幅に減少しており、これが CO₂ 排出量減少の主因の一つ。
インド
- 人口増・経済成長率が高く、エネルギー需要・発電需要ともに急速に増加。
- ただし、再生可能エネルギーの設備導入が急増しており、電力部門では転換の動きが出てきています。これが「ピークアウト」の可能性を示唆。
- 1人あたりのCO2排出量は日本の1/5。
日本
- 原子力発電所の再稼働、再生可能エネルギーの導入拡大、化石燃料依存度の低下などが排出減少の背景にある。
- ただ、電源構成では依然として熱源(化石燃料)比率が高く、変化の余地が大きいため、今後の対応が重要となっている。
CN宣言
- 年限を区切ったネットゼロ(カーボンニュートラル)宣言をしている国は2024年時点で146か国。
- 2050年…日本、アメリカ、EUなど
- 2060年…中国など
- 2070年…インドなど
- 2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする=カーボンニュートラルを目指すと宣言
- グリーン成長戦略(2050年カーボンニュートラル実現に向けて、成長と雇用を生み出すための産業戦略)
- 2030年の中期目標(NDCの改定)が掲げられ、「2013年比で46%削減」「さらに50%をめざす」といった数字が提示された
- GXリーグが稼働(企業・政府・学界が連携し、脱炭素社会と経済成長を同時に目指すための日本の官民プラットフォーム)
- 第1回 GX実行会議
- GX実現に向けた基本方針が閣議決定
- GX推進法が成立
・GX推進機構の設立
NDC
- NDCとは各国が自ら決めて国連に提出する、温室効果ガスの削減目標と対策計画のこと
- 日本語では 「国が決定する貢献」 と訳される
- NDC は、2015年のパリ協定で定められた中心的な仕組み
- 各国が「地球の平均気温上昇を1.5〜2℃以内に抑える」ために、どのくらいCO₂などを減らすかを自主的に決めて提出する
| 国・地域 | 削減目標(2030年時点) | 基準年 |
|---|---|---|
| 日本 | 約 ▲46% | 2013年度 |
| イギリス | 約 ▲68% | 1990年水準 |
| アメリカ | 約 ▲50~52% | 2005年水準 |
| 欧州連合 | 約 ▲55%(国内純削減) | 1990年水準 |
| 韓国 | 約 ▲40% | 2018年水準 |
| 中国 | ―(絶対削減率明確でない)/炭素強度 ▲60~65% | 2005年水準 |
| インド | ―(絶対削減率明確でない)/GDPあたり排出強度 ▲45% | 2005年水準 |
各国の対策
アメリカ
- パリ協定に署名・加入していたが、2017年に離脱。2021年に再加入。
- インフレ削減法(IRA)…投資総額 約55兆円規模(気候・エネルギー関連投資を含む)
EU
- 欧州グリーンディール…脱炭素と経済成長を両立させる総合戦略
- アメリカの「インフレ削減法(IRA)」に相当する、ヨーロッパ版のGX政策
- 気候変動対策だけでなく、経済成長戦略・産業政策・社会変革政策を兼ねる
- 「欧州気候法(European Climate Law)」(2021年発効)によって法制化され、2050年ネットゼロと2030年▲55%削減(1990年比)が法的拘束目標に
- EU-ETS(欧州排出量取引制度) … 世界最大のカーボンプライシング制度であり、EUの脱炭素政策(欧州グリーンディール)の中核をなす仕組み
- 炭素国境調整メカニズム(CBAM)導入で、EU域外からの輸入にも同等の炭素コストを課す方向へ
- EUタクソノミー … 「環境⾯でサステナブルな経済活動(=環境に良い活動とは何か)」を⽰す分類基準
中国
- 中国は世界最大のEV市場であり、政府の強力な政策支援によってEV(電気自動車)普及を国家戦略として進めている
- 第14次五カ年計画(2021〜2025年)でも、「新エネルギー車(NEV)産業の育成」が重点分野に位置付けられている
GX実現に向けた基本方針
- エネルギー・産業・交通・住宅などの各分野で、再エネ・水素・CCUS・原子力など多様な技術を組み合わせて脱炭素構造へ転換する。
- 「成長志向型カーボンプライシング構想」や「GX経済移行債(20兆円)」など、官民投資を促す仕組みを整える。
- 今後10年間で20兆円規模の「GX経済移行債」を発行する。財源は以下の通り。
- 2026年度~ 排出量取引制度(ETS)本格稼働(2023年度からGXリーグ内で試行的に導入)
- 2028年度~ 化石燃料賦課金制度導入
- 2033年度~ 発電事業者向け有償オークション導入
エネルギー政策
- エネルギー基本計画:日本の中長期的なエネルギー政策の基本方針を定める政府の公式計画
- 現行は第6次エネルギー基本計画(2021年10月閣議決定)
- 「3E+S(Energy Security/Economic Efficiency/Environment+Safety)」の調和をとりながら、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた、持続可能なエネルギー構造の転換を進めること
| 年度目標(2030年) | エネルギー構成比 |
|---|---|
| 再生可能エネルギー | 36〜38% |
| 原子力 | 20〜22% |
| 火力(石炭・天然ガス・石油) | 41%程度(うち石炭19%) |
| 水素・アンモニア等 | 1%程度(導入段階) |

脱炭素経営の全体像

- 事業に影響を与える気候関連リスク・機会の把握
- サプライチェーン排出量の算定
- 排出削減目標の設定
- 排出削減改革の策定
- 削減対策の実行
サプライチェーン排出量
Scope3:事業者による排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
Scope1:直接排出(事業者みずからによるGHGの直接排出)
Scope2:間接排出(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)
Scope3:事業者による排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
- 工場を持たない企業はScope1はナシ
- 排出量算定の基本式は「活動量」×「排出原単」
- 活動例:エネルギー使用量、貨物の輸送量、廃棄物の処理量
- 単位例:kgCO2/kWh
GX技術

| 分類 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| gxA エネルギー供給 | 再エネなどの「つくる」技術 | 太陽光・風力・水素技術など |
| gxB 省エネ・電化・需給調整 | エネルギーを「減らす・効率化する」技術 | 省エネ建築、電動モビリティ |
| gxC 電池・蓄エネ | 「ためる」技術 | 二次電池、蓄熱材料 |
| gxD 非エネルギー分野のCO₂削減 | 製造やリサイクルなど「非エネルギー系」での削減 | 製造工程のCO₂削減、リサイクル |
| gxE 温室効果ガスの回収・貯留・利用・除去 | 「取り除く」技術 | CCS(CO₂回収貯留)、グリーン冷媒 |
電源構成

- 2030年は非化石6割、化石4割程度。

| 発電方式 | 過去 | 現状 | 課題点 |
|---|---|---|---|
| 水力発電 | 明治期から導入、日本の電力供給を支えた主要電源 | 大規模ダムの新設は減少、小水力が地域分散型として注目 | 建設コスト・環境影響・適地の減少 |
| 太陽光発電 | 1990年代から普及開始、2012年FITで急拡大 | 設置容量は世界上位、家庭・企業で導入進む | 発電量の天候依存・設置用地不足・廃棄パネル問題 |
| 風力発電 | 2000年代から全国で導入開始 | 陸上中心から洋上風力へ移行中(地形の問題から日本では導入が進みにくい) | 騒音・景観・環境アセスメント・送電網整備 |
| 地熱発電 | 1960年代から実用化、世界第3位の資源量 | 国内稼働は限定的、温泉地との調整課題 | 掘削コスト・温泉権益・開発規制 ※発見から運用まで時間がかかる |
| バイオマス発電 | 2000年代以降に注目、廃棄物活用が進む | 木質・下水汚泥・食品残渣など多様化 | 燃料供給の安定性・輸入依存・CO₂削減効果の検証 ※ウッドショックにより木材の確保が難しい |
再エネ導入量

脱炭素化に向けて
| 技術名 | 概要 | 主な課題 |
|---|---|---|
| CCS(Carbon Capture and Storage)/CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage) | 工場や発電所などから出るCO₂を回収し、地中に貯留または再利用する技術 | コスト高・安全性(漏出リスク)・適切な貯留場所の確保 |
| DAC(Direct Air Capture) | 大気中から直接CO₂を吸収・回収する技術 | エネルギー消費が大きい・コスト高・大規模化が課題 |
| 水素・アンモニア | 化石燃料に代わるクリーンエネルギー源として注目 | 製造時のCO₂排出(特にグレー水素)・インフラ整備コスト |
| SAF(Sustainable Aviation Fuel) | 廃食油や植物油などを原料にした持続可能な航空燃料 | 原料確保・コスト高・量産体制の確立 |
| バイオ素材(バイオプラスチックなど) | 植物などの再生可能資源を原料とする素材 | 生分解性・コスト・リサイクルシステムの整備 |
| カーボンリサイクル | 回収したCO₂を資源として再利用する技術 | 技術成熟度・エネルギーコスト・商用化の採算性 |
| 蓄電池 | 再エネの不安定な発電を補うエネルギー貯蔵技術 | コスト・資源確保(リチウム等)・リサイクル技術の確立 |
NETs
- NETs(Negative Emission Technologies/ネッツ)=「二酸化炭素の“除去”技術」のこと。
- 再エネは「出さない技術」、NETsは「出たものを消す技術」。
- DAC(Direct Air Capture):大気から直接CO₂を吸収し貯留/利用。
- BECCS(Bio Energy with CCS):バイオマス発電+CO₂回収・貯留。
- 森林吸収・植林(Afforestation/Reforestation):自然の吸収源を拡大。
- 土壌炭素貯留(Soil Carbon Sequestration):農業土壌に炭素を固定。
BECCSは「植物が吸ったCO₂を、エネルギーに変えつつ地中に戻す」仕組み。
→ 発電してもCO₂を“出さないどころか、減らす”技術。
ネガティブエミッション技術
- 大気中にすでに排出された二酸化炭素(CO₂)を回収して減らす技術の総称。
- BECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage)…バイオマス発電 + CO₂回収・貯留。
- DAC(Direct Air Capture)…大気中のCO₂を直接吸収・回収。
- 植林・再植林(Afforestation / Reforestation)…植物の光合成によりCO₂を吸収。
- 土壌炭素貯留(Soil carbon sequestration)…農法改善などで土壌に炭素を固定。
- バイオ炭(Biochar)…バイオマスを炭化して土壌に埋設し、長期間炭素を固定。
- 海洋肥沃化(Ocean fertilization)…海洋に微量栄養塩(鉄など)を投入し、プランクトン増殖を促す。
- ブルーカーボン(Blue carbon)…海藻・藻場・マングローブなど海域生態系によるCO₂吸収・固定。
アンモニア混焼とは、火力発電所の燃料として 石炭や天然ガスにアンモニアを混ぜて一緒に燃やす技術 のこと。ネガティブエミッション技術ではない。
⽔素の種類
- 化石燃料(主に天然ガス)から製造
- CO₂をそのまま大気に排出
→ 最も一般的だが、環境負荷が大きい
- 製造方法はグレー水素と同じ(化石燃料由来)
- ただし、発生する CO₂を回収・貯留(CCS)して大気に出さない
→ 低炭素型の水素
- 再生可能エネルギー(太陽光・風力など)で水を電気分解して製造
- 製造時に CO₂排出ゼロ
→ 最も環境負荷が低い“クリーン水素”


